Myself【オリジナルRPGシナリオ小説版】

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チチチチ…
　鳥の囀りが聞こえた。肩に重みを感じてゆっくりと目を開ける。肩にはグラスの頭が乗っかっり、すやすやと、眠りについていた。
　まだ相棒が起きていないのをいい事に、首を回す。左手には深い森。右手には清らかな川と、作業をするステラ。
　間違いない。今日の朝の光景だ。

〈…有り得ねぇ。〉

　自分は死んだはずだ。村で、刺されて、死んだはずだった。なのに今、ここに生きている。

「ん…アナザー、おはよう。」

　相棒は目を覚ますと、グラスを起こさないように小さく伸びをした。さも、当たり前のように。疑問も何も、持っていなかった。

〈あ、嗚呼…おはよう、相棒〉

　グラスが起きる。ステラに呼ばれ、朝食を食べる。薬草サラダだった。
　起こることは、昨日と同じだった。まるで、時が戻ったかのように。
　村の前に行くと、黒狐が話しかけてきた。彼女の話す内容に、皆は反応していたが、アナザーだけは冷静に聞き取っていた。彼女の言葉は内容どころか、1字1句同じだった。

「別に、記憶なんてのうたって生きていける。うちは辞めるのをすすめるわ。」

　相棒が固まる。銃口に捉えられ、身動きが取れないらしい。
　慌てて、答えの催促をする。

〈どうなんだ、相棒？〉

「…それでも、僕は知りたい。自分が何なのかって。君は知ってたでしょ。どうせ僕がこう答えることすら。」

　回答も、記憶にあるものと同じだった。
　どうやら、本当に時が戻ったらしい。ならばこの先、またイルビナに掴まれ、役場へ行き、食事をして、殺される。思わず、ため息をつく。訳が、分からない。

　よく分からないが、今下手に動きを帰れば未来が変わる事は何故か分かった。なるべく、同じ行動で、同じ道を通る。宿で休んでる間に相棒には伝えよう。そう決めて、指示を出す。
　記憶を辿り、同じ行動を。おそらく、相棒には記憶が無い。されど、自分にははっきり残っている。同じ身体で、同じ脳を使っているはずなのに。…嫌、おそらく脳、もとい魂は別物なのだろう。

〈突き放せ。死ぬぞ。〉

　そうして、「死んだこと」を伝えるタイミングを探しつつ、傍観の姿勢に入った。

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