・ ページ23
「これから、私は2人を連れて村へ行こうと思っている。まぁ、理由はアナザーが記憶を思い出すきっかけ探しさ。」
「記憶…?」
「言ってなかったかい?」
首を傾げるキャルトにグラスが答ようとする。だが、その前にアナザーに言ってもいいか、と聞いた。アナザーが頷いたのを見て、彼は告げた。
「アナザーは記憶がないんだ。記憶喪失ってやつ。で、その記憶を辿るためにアウターの村である崖の上の村に行くんだ。」
「…記憶が無い、か。それは息災だにゃ。」
気遣うキャルトの言葉は、昨日の燃える猫とは同一人物とは思えない優しさがあった。お酒…もとい、マタタビを禁止したのは正解なのかな、とどうでもいいことを考えつつ、頷く。
「アウターの村であるそこに行くのは確かに手がかりになるかもだにゃ。ただ、今年の種族会議も、ここらの重役会議も既に終わっている。ハーピー空運でもない限り、村には当分出入りできないんじゃないかにゃ。」
「あぁ、それかい…」
どうやら村には簡単に入れない、というのは本当らしい。故に疑問が膨らむ。自分が置かれている立場は一体なんだろう。
「不思議なことに、アナザーは4日前に崖から落ちてきたらしいのよ。あの村の近くの崖ね。ということは結界が無効化されている可能性がある。それを含めて確認しに行くのさ。」
ほう、と頷くキャルトを見て、そこでお願いがある、と続ける。
「もしかしたらしばらく帰ってこないかもしれない。その間、この森の管理を頼みたいんだ。ただ、燃やすだけではなくてね。」
「そういうことなら勿論引き受けるにゃ。やる時はわしも流石にふざけはせぬよ。」
2人…2匹は握手代わりにお互いの尾を絡め、軽く振った。
「わしからもなにかあればハーピー空運で伝える。だから、こまめに連絡を寄越して欲しいにゃ。」
「わかった。移動する時は速達で送るよ。それじゃ、明日発つから頼んだよ。」
それを最後に、3人はキャルトにわかれを告げて洞窟へと戻った。
そして、夜が更けた。
__
4章への前置きとしてサクッと終わらせるつもりだった話が気がつけば凄く長くなっていました。章にするほどの出来事はないくせに長ったらしいし、前に閑話を置いてしまっているので3.5章とさせていただきます。ゲームでは5分もかからない場面です。
1人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜とおもち(プロフ) - イベント参加ありがとうございますm(_ _)m 文章が凄い!! 語彙力めちゃめちゃありますね✨️ 尊敬です! (2022年9月4日 14時) (レス) @page1 id: acf700690e (このIDを非表示/違反報告)
ユッピー - イベントから来させていただきました。 おもしろい作品ですね。 右星失礼します。 出来たらイベント方にも、、、 お願いします! (2022年3月5日 13時) (レス) id: 6b09c899b4 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» プレイさせて頂きました。長々しい描写やセリフを見事に簡潔に落とし込まれていてプレイしやすかったです!まさかのキラクサ、ノモギ、イトマキ草が出てきて驚きです(笑)わざわざありがとうございます。プレイしていて楽しかったです! (2021年12月29日 1時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
シトラス(プロフ) - こちらです。https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm23820?key=2f9881f8d2d7 限定公開のはずなので新着には上がりません。グラスと出会うところまで作りました。 (2021年12月28日 6時) (レス) id: 2edafec9c3 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» まさかの操作パートまで…ぜひプレイさせて頂きたいです。 (2021年12月22日 0時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ