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「うん、大丈夫。まだ痛いけど焼け爛れただけだからすぐ治るよ。そんなに気に病まないで。」
答えを聞いたキャルトは一息つくと眩しい笑顔で、それならまだ良かった、と言った。昨日のくどくどとした面倒くさい態度とは大違いだ。しかめっ面をしていたグラスも、アナザーが気にしていないなら僕がこれ以上怒る必要も無い、と態度を軟化させた。
一方、「アナザー」はひとつため息をつくと、特有の呆れたような声調の中に心配、そして笑いを含んで言った。
〈相棒、お前って本当にお人好しだよな。いつかはそれを利用されるぞ?〉
その問いに、相棒は言葉ではなく表情で答えた。少しはにかんだ様な、それでいて自信に溢れた笑みだった。
「さて、和解も済んだようだしこれからの話をしようじゃないか。」
話が一区切りしたタイミングで、ステラが切り出した。岩場には最初に集合した時のような緊張感はなかった。…キャルトを除いて。
「話って…一体なんだ?もしかして、マタタビ禁止…ダメだ、それは絶対ダメだにゃ!」
1人で急に叫びだすキャルト。今回の事件はマタタビが原因と考えていた彼は話とは再発防止の為の対策としてマタタビ禁止を宣言されると思ったらしい。
「誰がそんなこと言ったんだい?…まぁ、そうだね、禁止にしとこうか。…そんな目をするんじゃないよ。じゃあ、1ヶ月にしとこうか。あなたは酔うと面倒くさいからね。」
「えぇ…」
〈盛大に自爆しやがったな〉
「うん、今のは自爆だね。」
明らかな悲壮感を漂わせるキャルト、苦笑するステラとアナザー。そしてざまぁみろ、と言わんばかりの笑顔を浮かべるグラス。未だに報復は終えていないようだ。
「あぁ、もう…話がいつまでたっても進まないじゃないか。そろそろ真面目な話をするよ。」
全員が静かになり、ステラをじっと見つめる。やはり、緊張感はなかった。太陽は既に空高く昇りきり、空から地上を見つめていた。
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桜とおもち(プロフ) - イベント参加ありがとうございますm(_ _)m 文章が凄い!! 語彙力めちゃめちゃありますね✨️ 尊敬です! (2022年9月4日 14時) (レス) @page1 id: acf700690e (このIDを非表示/違反報告)
ユッピー - イベントから来させていただきました。 おもしろい作品ですね。 右星失礼します。 出来たらイベント方にも、、、 お願いします! (2022年3月5日 13時) (レス) id: 6b09c899b4 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» プレイさせて頂きました。長々しい描写やセリフを見事に簡潔に落とし込まれていてプレイしやすかったです!まさかのキラクサ、ノモギ、イトマキ草が出てきて驚きです(笑)わざわざありがとうございます。プレイしていて楽しかったです! (2021年12月29日 1時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
シトラス(プロフ) - こちらです。https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm23820?key=2f9881f8d2d7 限定公開のはずなので新着には上がりません。グラスと出会うところまで作りました。 (2021年12月28日 6時) (レス) id: 2edafec9c3 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» まさかの操作パートまで…ぜひプレイさせて頂きたいです。 (2021年12月22日 0時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
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