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閑話 管理者 ページ19

グラス、アナザーを採取に送り出した後、ステラは1人洞窟の中で佇んでいた。
 目を瞑り、呼吸をゆっくりと行う。息を吸う度に、新たな空気が身体を循環するのを感じる。空気と感覚を同化させ、森の全体像を掴もうとする。

 この山の管理者であるステラは、森に異常が起こっていないかをいつもこのような方法で監視していた。彼女にとっては、この方法が最も正確であり、森を走り回って確認するよりかは楽に、早く異常に対応ができる。長い間ここで暮らし、「正常」な森の気配までもを知り尽くしてる故にできることであった。

 この状態に入って十数分後の事だった。パチパチとなにかが弾ける音、そして感覚が生じた。この現象はかなりの頻度で起こること。

「また、やってるの…」

 この現象の原因は火事。森の植物に火がついた際の感覚であった。そして、火をつけたのはこの森の外れに住む化け猫、キャルトに他ならなかった。
 キャルトには森の植物の間引きを依頼している。この森にはニンゲンはなかなか入らず、植物が摘まれない。その上、この森に住む低級魔も殆どが肉食であった。そのせいで植物が増えすぎて他の生物の成長を害したり、繁殖力の強い草花が他の植物を絶滅させる可能性がある。
 だから、キャルトの発火能力による間引きをはありがたいものであった。ただ、無差別に、気の向くままめちゃくちゃに燃やすこと以外は。

 火の発生源の場所は川の近く。勘で発生源を探り、そこに水塊を生成する。細かい水滴にして、土を抉らぬように人工的な雨を降らして火事を消火する。余分な水塊は川へと小分けにして流す。今の季節はちょうどサーラン魚が産卵のために川を登っている頃だろう。

 パチパチとの音が消えた。消火が確認できたステラは立ち上がって大きく伸びをして洞窟を出た。夕飯の支度の為の狩りに行くのだ。いくら同族の魔であっても世は弱肉強食。肉だって食べたい。獣竜種であるステラに菜食主義を貫けというのは無理な相談だった。
 
 森に出て、獲物を探す。ここでの獲物は数が増えすぎた低級魔を指す。ステラはこの森の生態系ピラミッドのトップである。狩りも重要な仕事の一つであった。

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設定タグ:RPG , Myself , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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桜とおもち(プロフ) - イベント参加ありがとうございますm(_ _)m 文章が凄い!! 語彙力めちゃめちゃありますね✨️ 尊敬です! (2022年9月4日 14時) (レス) @page1 id: acf700690e (このIDを非表示/違反報告)
ユッピー - イベントから来させていただきました。 おもしろい作品ですね。 右星失礼します。 出来たらイベント方にも、、、 お願いします! (2022年3月5日 13時) (レス) id: 6b09c899b4 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» プレイさせて頂きました。長々しい描写やセリフを見事に簡潔に落とし込まれていてプレイしやすかったです!まさかのキラクサ、ノモギ、イトマキ草が出てきて驚きです(笑)わざわざありがとうございます。プレイしていて楽しかったです! (2021年12月29日 1時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
シトラス(プロフ) - こちらです。https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm23820?key=2f9881f8d2d7 限定公開のはずなので新着には上がりません。グラスと出会うところまで作りました。 (2021年12月28日 6時) (レス) id: 2edafec9c3 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» まさかの操作パートまで…ぜひプレイさせて頂きたいです。 (2021年12月22日 0時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リール | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月9日 18時

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