Myself【オリジナルRPGシナリオ小説版】

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ジュワァ、と言う音と白い煙と共に火球は消滅した。上から水が豪雨のごとく降りかかり、髪を、服を濡らしていく。オマケに今まで燃え盛っていた後方の森の炎も炭を残して消え去った。
　数秒後、目の前の燃え盛る猫が水浸しになる。小さな猫は煙と共に消滅し、巨大な猫はふわふわとした毛が萎びて、一気に情けない姿へと変わった。

それを受けて、猫は笑った。

「いささか、来るのが遅いにゃ。」

「全く、貴方は何度言ったら分かるんだい。昼寝を邪魔されたからって、森を燃やさないでって。」

　森の道の方を振り向くと、いくつかの水滴を浮かべて冷たい視線を投げる青く輝く獣、ステラがたっていた。
　猫はステラの姿を認めると、そっぽを向き、長く、太い尾を軽く振って答える。

「それは眠気覚ましにひと仕事しているだけだ。…そして、なんでもう少し早く来なかった？もう少しでこいつらを本当に燃やしてしまうところだったじゃにゃいか。」

「燃やすつもりがないなら、なんでアナザーを火傷させたんだ！あの火の量、絶対僕達のこと燃やすつもりだったくせに。」

「本当にやるつもりなら、最初の数秒でお前らなんか跡形もなく消え去ってるわい。」

　にゃはは、と笑う猫。顔を赤くして怒るグラス。そして、顔色ひとつ変えず、ことの次第を問うステラ。とても間にとって入ろうとは思えない。アナザーの方は痛む傷に顔を顰め、三者の問答を聞き流していた。

〈先に、治療だけしてしまおうぜ。〉
「そうだね。あっちは取り込み中らしいし。」
　異空間から採取した薬草を幾つか取り出す。消毒の変わりに能力を使って薬草から絞しだした液体を傷口に塗る。ステラに予備用として渡されていた白い布にも液体を染み込ませ、その上にこれまた創り出した薬草のペーストを塗りつけて傷に当てる。簡易的なものだが、無いよりはマシだろう。

　やがて、話が纏まったのか3人がこちらへ寄ってくる。アナザーの布の巻かれた足を見ると、ステラは猫を軽く睨み、後でまた治療するから少し我慢して、と耳元に囁いた。

「何から話せばいいのやら…えぇ、まず、この馬鹿猫はキャルト。この山の植物の間引きを任せているのだけどね…問答無用で分身の子猫を作って植物を燃やしたり、周りを見ずに行動をして、理不尽な言い掛かりでちょっかいをかける困りものさ。」

「…ちょっと、その言い方は酷くにゃいか？わしはちゃんと仕事はしておるよ。ただ、退屈しのぎにちょっかいを出しているだけだ。」

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