昼休みと黒田くん ページ5
銀杏高校1年の特進クラスにおいて、女子生徒は日下部みやびと夏目Aの2名のみである。それもあってか2人の仲は良く、空き時間などに話している姿がよく見られる。そしてその会話に、他の特進クラスの生徒が混ざっていることも多い。
「Aちゃんは黒田くんとよく話されていて、仲が良いですよね」
「そうだね、よく話してもらってるよ」
「毎朝楽しそうに話してるよね。僕が教室に向かうと、楽しそうな声がクラスから聞こえてくるから微笑ましくなってくるよ」
「いつも何話しとるん？2人とも頭いいし、やっぱ勉強の話とか？」
今日2人の会話に混ざっているのは、上杉謙信と豊臣秀吉。みやびの机に椅子を3つ持ってきて秀吉が持ってきたトランプでジジ抜きをしていた。
「色々、かな。勉強の話もするけどね、本とか映画とかニュースとか」
「Aちゃんは多趣味ですし、黒田くんは知識の多い方ですから。話題が尽きなさそうですわ」
「そういえば、こないだもホームルームギリッギリの時間まで話しとって、急いで席戻っとったもんなぁ」
「でも、そのくらい仲良いのに朝しか話してるところ見ないな、なんでだ？」
上杉の言葉に、確かに、とみやびも秀吉も頷いた。その様子にAは困ったような笑みを浮かべて、トランプの手を止める。
「んーと、楽しくて時間忘れて話し込んじゃうからさ、黒田くんの時間を奪っちゃうのはよくないかな〜って」
Aがそう言うと、3人とも驚いたような表情をした。
「えっ、Aちゃんそんなこと気にしとるん！？」
「黒田くんはそのようなこと気にしないと思われますよ…？」
「うん、黒田も楽しんでいるだろうし、気にしないでいいと思うけど」
3人から口々に言われ、「そう、かな…？」とAが零せば、3人は頷き肯定する。
「そうだといいな」
薄く笑って、みやびの手にある2つのカードから1つを抜き取り、Aは揃った最後の2枚を捨て場に落とし、ゲームの終了を示す。
「いやいや、絶対そうやって！」
「Aちゃんはもう少し自信を持っていいですわ」
「僕もそう思うよ。なぁ黒田？」
「そうだな、夏目はもう少し自信を持つべきだ」
この場にいなかったはずの声が聞こえ、Aは驚き後ろをむく。
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作者名：妙党 | 作成日時：2022年10月1日 15時
