あの子を堕トシタイ。Ⅱ (ページ8)

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No.57/心配掛ける可からず。ページ8

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特設された医務室で、氷織はAの頭に包帯を巻いていた。

手付きが丁寧過ぎないかな。
それがAが感じた率直な感想だった。

『あの、大袈裟過ぎでは…』

氷織「大袈裟くらいが丁度いいんよ。Aさんに無理させない為の処置やし」

ニコニコと穏やかに笑う割に、瞳が鋭い。

思わず萎縮したAに、氷織は眉を下げた。傷を避けて、優しく頭を撫でられる。

氷織「二回中、二回。Aさんが僕と会うときは、いつも怪我しとるね」

『……申し訳ない限りです』

氷織「謝る必要は無いんよ。ただ、心配掛けられるの好きって人は、あんまり居らんよ。僕はAさんが何かあると思うとゾッとするわ」

はい、と包帯を固定した氷織は慈しむようにAを見る。

氷織「あんまり無理したらあかんよ。Aさんは、マネージャー以前に女の子なんやから」

『……返す言葉もございません…ありがとう、氷織さん』

氷織「おおきに。困ったらいつでも言い」

ひらりと手を振る氷織に、遠慮気味に振り返した。

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大食堂。大食堂とは言いつつ、使用人数は35名と少なめ。絞るところまで絞られた人数で使うと少し寂れてる。

その一番隅で、Aは飲料ゼリー片手に文学本を睨んだ。その様子にを側から見る人が四人。

千切「A、集中してんな。今声掛けたら迷惑か」

蜂楽「えー、心配だから早く話したいのに」

潔「疲れてんじゃないか？少し様子見よう」

凪「あーあ…あの触覚害虫、どう処理すれば良いんだろ」

千切「殺虫剤でも準備しとけよ。」

何やら物騒な会話が繰り広げられる。瞳が本気も本気だ。

潔「お嬢さん？？……にしても、Aを運んでったのって二子と一緒にいたやつだよな」

千切「俺が隣にいんのに無視して連れてった奴か」

蜂楽「なんか仲良さそうだったよね」

凪「あー、もう。考えるの面倒くさい。Aー、」

凪がAを呼び掛けて、静止する。そしてまじまじと見つめる。つられる様に各々が視線を向ける。

凛がAの正面の椅子を引いて、腰掛けた。Aは、少し怯えた様に肩を跳ね上げさせる。

蜂楽「……あの二人、大丈夫かなぁ。前大喧嘩してたんだよねぇ」

千切「Aって怒んの？全然イメージ湧かねぇな」

潔「それ俺も思ってた……凛とAさん、幼馴染らしい」

凪「マジか。え、じゃあ何で喧嘩してたの？」

潔「それは俺の口からは…」

その頃、Aと凛は。

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