No.52/士道龍星、再来。 ページ3
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AAは危機感知がザルだ。
これは絵心甚八が証言している。Aは否定した。だが、最近では青い監獄内でも周知の事となりつつある。Aは再度否定した。
例えば、嫌な思い出がある目立つ桃色頭が目に入ったとしても特に避けることなく会釈をして通り過ぎようとするような人間だ。
士道「Aちゃん!最近会えてなかったからちょー嬉しい」
『………どうも』
士道「素っ気ないね、そーゆープレイ??」
『………プレイ?』
士道「…もしかしてAちゃんって純粋ピュアピュア?そういうの汚すのってアガる♡♡」
『(この人の言いたいことが三分の一も分からない……)』
例えば、バグっている距離感にも肩重いなとズレた感想を述べるような人間だ。
肩に手を置いた士道にAは半ば諦めたように溜息を吐く。宥めるように言葉を並べた。
『士道さん。もうすぐ試合なんですから控室に戻ったらどうですか。待ってる人もいますよ』
士道「えぇ…連れないなぁ、Aちゃん」
士道は遠慮なしにAに肩を抱くなんて、ぶっ飛んだ行為を構してきた。しかも力加減を一切せず、一歩間違えれば潰れそうだった。
耳に生温い風が当たる。それが士道が故意に掛けてきた吐息だと気づいたAは、猫が毛を逆だてるみたいに、全身の産毛を逆立てた。
『しっ、士道さ、』
語彙が震える。
残念ながら威嚇にはとてもじゃないが似つかなかった。
士道「そういうのは煽ってるだけになるって、なんで分からないかなぁ』
『ちょっ……待っ…』
士道「ここで待てって言われて待つのは、男じゃないよね」
『マジで訴えますよ…』
士道「生意気なAちゃんも好み♡♡」
ギチギチと音を立て始めた肩に、顔を歪める。
直後、士道の手がAから離れる。より正確に言うならば、Aが士道から離れた。
「大丈夫か、マネージャー。心配心配」
『あ、ありがとう…黒名さん』
黒名蘭世がAを背後に庇った。
優しく微笑む黒名とは対照的に、士道は顳顬に青筋を浮かばせる。
黒名「有り得ないだろ。嫌がる女子に無理矢理迫るとか。最低だな」
士道「ああ?意気ってんじゃねぇよ、チビ」
黒名「秩序を守れって言ってるだけだが。随分と低い沸点だな」
士道「邪魔すんなよって言ってんの」
黒名「知らねぇな」
士道「マジでねぇわ…また遊ぼうねAちゃん!」
Aは全力で捥げるんじゃないかと言うほど、首を横に振った。
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えむ(プロフ) - 続き待ってますめちゃくちゃ面白かったです🥲 (8月2日 14時) (レス) id: 7e28d2c99c (このIDを非表示/違反報告)
闇まんじゅう(プロフ) - めちゃめちゃに面白いです!しどー少しは空気読んでwww (2023年3月22日 22時) (レス) id: a2e3403032 (このIDを非表示/違反報告)
藍Na。 - ルアンさん» ありがとうございます!頑張ります。 (2023年3月15日 16時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ルアン(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!! (2023年3月12日 13時) (レス) id: 6a2282d5fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍Na。 | 作成日時:2023年2月6日 16時