あの子を堕トシタイ。Ⅱ (ページ1)

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No.50/メイド馬狼。ページ1

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『……私はあんまり香りが強いのは好きじゃないですね…石鹸とかが好きかも』

馬狼「同意だな。常に匂いを撒き散らかすより、少し嗅いだ時にするくらいが良いんだろ」

『それだ……そうそう、そうなんです』

掃除が終わる頃、ふたりはすっかり打ち解けてしまっていた。

話の内容は、好きな洗剤は何かという主婦がするような話であった。だけれど、意外と馬が合って盛り上がっていた。

『……お皿洗いの時とか、お米の粒とか残ってるのって気になりませんか』

馬狼「ああ。クサオなんて米粒どころか色々残すぞ。ムカついて仕方ねぇ」

『……クサオって…凪さん？なんでクサオなんですか』

馬狼「メンドクサオ」

『んふっ』

さながら、仲睦まじい兄妹のようだ。

凪「疲れた…もう動きたくなーい」

千切「扉開いたらもう部屋だわ。我慢してもう一歩進め」

凪「ええ～…めんどくさ～」

噂をすればなんとやら。

扉越しに聞こえて来た声に、Aと馬狼と話は途切れた。

馬狼は面倒くさそうに舌を打って腰を浮かす。Aもつられて立ち上がった。

馬狼「汗臭いままベットには乗るなよ。絶対」

千切「分かってるよ。何回めだそれ……」

『……お疲れ様です、千切さん』

千切「お、A。掃除中か？お疲れ」

優しく頭のてっぺんに手を置く。もはやこれが挨拶代わりだ。

Aは喉でも鳴らしてるみたく、猫みたいに気持ち良さげに目を細めるから、つい撫ですぎてしまう。

凪「……A。俺だって頑張ってるんだけど」

『……知ってますよ。お疲れ様です、凪さん』

凪「本当に疲れたー。A、おんぶ」

言うが早いか、Aの背中に回りこんで寄り掛かって腰に抱き着く凪。疑うまでもなく、他意ありまくりである。

Aが潰れた蛙の様な声を出すから、千切と馬狼は慌てて凪を引き剥がそうと試みる。

千切「体格差を考えろよナマケモノ！つーか羨ましわ離れろ！！」

馬狼「その汗臭い匂いをAにつけんな！お嬢お前は論点が違うだろ！！」

どちらも微妙に論点が違うけれど、荒れ狂うふたりに幾ら言っても無駄だ。

凪「出たメイド」

『……メイド？…お帰りなさいませご主人様、って言ってるメイドですか？？』

凪「そ。でもキングって、“お帰りなさいませご主人様♡”より“お帰りくださいませご主人様♡”の方がしっくり来るでしょ」

『…ふ、ふふっ、しっくり来ます』

馬狼「俺はメイドじゃねぇんだって言ってんだろうが…」

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