.城の崎にて【志賀直哉/鈴凛】 ページ9
「ノアはどうした」
「さあ、知りません。気づいた時にはいなくなっていました。」
心の中で舌打ちをする。只でさえ、憎んでいる奴らと同じ空間に居なければならないのに、厄介ごとを持ち込む。
「探すのか」
「ええ、あちらも困惑しているでしょうし、味方が多くて困ることはありません。志賀さんの異能で見つけることができればいいのですが、この状況で使うような異能でもありませんし、難しいかと。」
肩をすくめて、やれやれと言いたげに首を振る。
「手分けして探すとして、電波が無いようですので、連絡手段を」
「自由行動でいいだろ、面倒くさい。もし会ったら御の字で動けばいい」
こいつ等と、別れたいが為に言葉を遮りそう言えば、「いえ」と少し目を細め、考えていると言ったように、顎に手を添える。少し俯きがちな顔に影がかかる。
「此処が何処かも分からない状態で、情報を狭めるのは得策ではありません。情報源は多い方が良いでしょう。ノアさんを探しながら、此処について調べ、連絡を取りましょう。」
そう言い顔を上げた。
「連絡手段は、そうですね・・・」
辺りを見、足元にあった小枝を拾い上げ、
「狼煙でどうでしょう」
と小枝を差し出してきた。
それを受け取り、渋々ながらも「・・・・・・分かった」と返せば、「では、私は皆さんに伝えますので。」と、真っ白な人間共の方へ歩いていく、途中、あ、と言いたげに足を止めて、俺の方へ振り返る。
「そう言えば、此処に他の異能反応は?」
「・・・・・・ある」
ドストエフスキーは、コテリ、少し首を傾げながら、曖昧な笑みを浮かべ、
「では、異能以外の反応は?」
思わず目を見開いた俺に、「ああ、あるのですか。」と笑う。
「どうして、と言いたげな表情ですね。」
じり、と右足が後退する。警戒で顔が険しくなる。それを乾いたように笑い、「周りをよく見て下さい。『神様の目』さん?」
と、周りに視線を流した。
警戒で固まる俺を他所に、ドストエフスキーは「それでは」と白装束共の方へ足を進めた。
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時