.蜘蛛【斑樹夜霧/魑魅零】 ページ7
大正時代。
確かに坂口先輩はそう言った。
異能攻撃によるものだろうか。特務課を恨んでいる者などこの世に数え切れぬほどいるだろう。今天人五衰がテロ行為に及んでいるからといい、これも奴らの仕業だと決めつけるにしてもまだ早い。
なんでもいいから情報を集めないと。
当たりを見回りしたところ、ここはどうやら山奥らしい。しかし、空気の濃さから言ってそこまで標高が高い山ではなさそうだ。
少なくともヨコハマではないだろう。
『…あ』
草陰に隠れて見えにくいが、人間の足跡を発見する。草履…だろうか。あまり見覚えのない形だ。まだ新しい。少なくとも、この山に私たち以外にも人がいる。
それに…。
この山、異常なまでに蜘蛛が多い。先程からウヨウヨと木々や地面を這っている。人為的に放たれたものであろう。ならば、この蜘蛛たちは私たちをここに連れてきた犯人を知っているかもしれない。
『坂口先輩。この蜘蛛の記憶読み取れますか』
なんて一匹の背中を掴み先輩へと差し出す。
『噛まれないでくださいね。どんな毒もってるかも分からないので。私が持っときますからお願いします』
「分かりました」
我ながら今日は冴えている。
パキリ。なんて漫画でしか聞かないような枝を踏む音が背後からする。
「誰だ」
佐藤が一喝する。全員の視線が音の主の方へと向くが、先輩は集中しているのか蜘蛛に視線を向けたままだった。かくいう私も、先輩が噛まれたらたまったものではないため視線は手元の蜘蛛にあった。
「わっ…!」
なんて声が耳に入る。
『…ん?』
聞き覚えのある声。
なんかすごく、イライラしてくるような声…。
「あっ、斑樹」
『八尋…』
思わず、うわ。なんて声が出そうになるのを堪えた。
「知り合い?」
なんてルーナが問えば、
「まーね」
と八尋が続いた。
「でもよかった、知り合いがいて。ポートマフィアの人たち見てない?はぐれちゃったんだよね」
やばい。
頭が回らなくなってきた。
そろそろ吸おう…。
なんて自身のポケットを漁り、乱雑におくすりを取り出す。こちらはすんなりと出てきてくれたのだが、ライターが中々見つからない。
そんな様子を見てか八尋が、はい。なんて火を差し出した。
「相変わらず捜し物下手だねー。オレが居なきゃ何にもできない」
『あ"?』
喧嘩を止めるように、先輩が口を開いた。
「えっと…、どうやら鬼がいるようですね」
…は?
この場にいる者全員、同じことを思ったに違いない
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時