【本編】迷い犬の鬼殺奇譚・改【リレー小説】 (ページ45)

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.蜘蛛の糸【白銀琥珀/魑魅零】ページ45

『…朗報。師匠、下津さん大活躍』

「…まあ」

「だろだろ」

塵が消えていくのを見届けて、私たち三人はその場に立ち尽くした。

以下回想。

「あれ、鬼じゃないか？」

「…だな」

『意外と、会うの早かったね』

初めに鬼を見付けたのは師匠だった。続いて下津さん、私。フィッツジェラルド様と合流しようと道を戻っている途中であった為、今この場には三人しかいない。
しかも、私は先程異能を使ってしまった為、異能戦は参加出来ない。下津さんも前線を張るようなタイプではない。…いや、相手は蜘蛛。即ち毒使いならば相性がいいのか。そして、ガッチガチの戦闘タイプの師匠はと言うと…。

「異能力・全射必中」

『ですよね』

「では、私はここから援護と、被害にあった人達の解毒を」

『…することねェ。はいはい。私は所詮、1時間に1度しか異能を使えない役たたずですよーだ』

そんな事を呟いた。一方で鬼の方をちらりと見てみれば、鬼の片腕が飛んでいた。

「何よアンタ」

「冥土の土産に覚えとけ。俺の名はブリッシュ・フィグティー」

鬼は気分悪そうに師匠に攻撃を仕掛けた。蜘蛛の巣のようなものが、木々を裂きながら師匠に向かう。裂かれた木はドロドロと溶け落ち、当たったらやばい何かなのだということがわかる。

「おっと…。そうか、蜘蛛か。あの毒蜘蛛はお前の仕業か」

「それは…、アタシじゃないわよ」

鬼の返答が一瞬詰まった。自分じゃなくとも、犯人は知っているのだろう。

『下津さん。何とかなりそう？』

「…何とかなると思ったのだが、生きている人間が居ない。援護全振りで良さそうだ」

『ああね…』

下津さんが一歩前に出た。そして、異能を使う。と、ほぼ同時に鬼の攻撃。然し、鬼の攻撃は不発となった。下津さんの異能が上手く発動したようである。

師匠の一撃。鬼の首が飛んだ。ガッツポーズをする師匠。

そして現在。

『大活躍』

「さて、帰るとするかな」

「フィッツジェラルド様も待っているだろう」

三人で一歩踏み出した。然し、物音で三人は一斉に振り向いた。振り向けば、先程首を破壊されたはずの鬼が立っている。

『…』

「…」

「…」

さて、どうしたものか。