.影踏み【陰火/魑魅零】 ページ43
どちらが影でどちらが光か。
暗影の呼吸。
聞いた事のない呼吸。
『何を言い出すかと思えば。笑わせてくれる。光も何も、此処には影しか居らぬではないか。折角我に一撃与えたのじゃ。少し遊んでやろう。出来れば柱が良かったのだがな』
「ッ……!」
柱という単語に、其の人間は過剰に反応して見せた。成程。西洋の言葉を使うとするならば、コンプレックスと言う奴であろうか。
面白い。
常に自身が一番でありたいと思うのは、生命の最大欲求にも匹敵する本能だ。ますます気に入った。絶対に累等には譲らぬ。我が血肉としてくれよう。
『影に溶け、呑まれ、染まらん事を。さぁ、おいであそばせ?』
血鬼術・形影
自身の腕を掻く。皮膚が裂け、肉がえぐれ、骨が見える。ボタボタと鮮血が、先程狩っていた鬼殺隊員の日輪刀へとかかる。刃先をつたい、其れは日輪刀の影へと溶け込んだ。
傷口が塞がる。
_形影。
影の日輪刀を引き抜くと、其れを鬼殺隊士ではなく、思い切り草むらの人間達へと飛ばす。
「なっ!?」
鬼殺隊士が走り出すが、遅い。人間達には、矢張りこういう関係ないものを巻き込む事が一番効くのだ。
「異能力・舞う花魁人形」
『っ…!?』
「は?」
飛ばした刀が、人形の様な何かによって止められる。突如現れた其れは、刀を止めると、やがて消えていった。鬼の気配ではない、何か。酷く思考が乱される。
「皆様、お怪我は」
当然の様に、今の現象の主であろう女が仲間に問い掛けている。
嗚呼…何という事だ。本気ではないとはいえ、鬼殺隊士でもない一般人に我の攻撃が止められた。そんな事が許されるのか?あってたまるか。
許さない…。許さない!こんな屈辱は久しぶりだ。酷い…酷い酷い酷い!
もう一度複製品を造り、投げる。然し、今度は鬼殺隊士の動きが間に合い、鬼殺隊士の日輪刀によって金属音と共に、影は崩れ去る。
『なッ…!?』
視線を人間達へと戻せば、一人増えていた。…一人増えていた?
「異能力で皆の場所を掴んだんだ」
等とほざきながら、黒髪で琥珀の瞳を持つ少年が談笑している。巫山戯るな。我をおちょくるのも大概にしろ…。
「そこの君、私達と協力しないかい?我々も帰りたいからね。今の舞優の様子を見ているようだと、鬼にも異能力は通じる様だし」
「協力…。分かった」
ゾロゾロと草むらから出て来る人間達。異能力と言ったか?知らない情報だ。だが、脅威になり得る存在が増えてしまった。何が起きている…?
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時