.戦闘【斑樹夜霧/魑魅零】 ページ39
佐藤が走り込む。
ボロ小屋を一気にはい上り、あっという間に人面蜘蛛の背後に立った。相変わらず凄い運動神経だ。全く、織田が絶賛するのも分かる。
……織田か。懐かしい名前が出たものだ。
「あの、行かなくてもいいのでしょうか」
「僕たちが行っても何も出来ませんからね」
『何も出来ないって言ったって、体術はルーナも坂口先輩も出来るだろう』
「夜霧だって出来るでしょう」
『昔はね。今はもう体がボロボロだから。一瞬で立てなくなってしまう。…ありゃ、もう切れた』
なんてクスリを口から外す。本当に気分がいい。一つ暴れたやりたいものだが、どうしようか。だが、仮に私が異能を使用したとして、酸素不足で倒れたら救急車もないしお荷物になるだけか。矢張りやめておくのが懸命か。
『大人しく佐藤に任せよう』
「相変わらずの手のひら返しだ。にしても、今日はよく喋りますね」
『失礼な』
「まぁまぁ」
佐藤に視線を戻す。
蜘蛛の攻撃。糸が小屋を切り裂きながら佐藤に向かう。何にも引っかかる様子のない鋭く月明かりを反射する糸。人体に当たってしまえば、骨や肉など軽く切れてしまうだろう。
ヒュウと風を割く音と共に佐藤に糸が向かう。正直、風の音と宙を舞う木の板くらいしか糸の位置が判別出来ないほどに高スピードで動いているため、佐藤が優勢なのかもう切り刻まれているのかは分からないが、佐藤があの場にまだ立っているという事は少なくとも攻撃は避けているのだろう。
佐藤の体が宙に舞った。もちろん、切り刻まれた訳ではなく、血も吹き出していないため自ら子やから降りたのだろう。
着地。
砂埃が少しばかり舞う。
「雷の呼吸 壱の型…」
瞬間、だった。
佐藤の上。
木の枝から人が落ちてくる。
蜘蛛の攻撃を華麗に避け、着地する。
佐藤が何か話しかけている様だが、返答がある様子もない。しかし、蜘蛛からの連撃が続き、しぶしぶ佐藤は彼から離れ、両者から距離を置いた。
自身から蜘蛛の関心が薄れた事にも少し怒っているようにも見えるが、実際どうなのかどうかは分からない。
だが、先程から悪寒が止まらない。先程までの酔いは完全に覚めてしまった。
本能が、アイツはヤバいと言っている。随分と弱そうに見えるが、この世には孤児を拾い育てるようなお人好しの元殺し屋や、探偵社でナンパ続きの元ポートマフィア最少年幹部だっている。
下手に油断は出来ない。
さ、どう出てくるものか。
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時