.鬼のいる世界【斑木夜霧/魑魅零】 ページ26
オニ。
おに。
鬼。
鬼。
…鬼?
脳内で、馴染みのないその単語を探り出す。自信に言い聞かせるように、繰り返すうちにようやくその単語に引っ掛かりを感じる。先輩の言い方からして異能の類ではないのだろうから、A5158のように特異点か何かなのだろうか。
なんにせよ、この異常な蜘蛛の集まりはその鬼とやらの仕業なのだろう。
「安吾、鬼ってなんなんだ?」
「えっとですね········」
なんて先輩の言葉が詰まった。周囲の人物達も皆鼻をつまみ、皆口々に文句を言いながら顔を顰めている。何か匂いでもしているのだろうか。吸ったクスリの影響か、嗅覚が全くと言っていいほど仕事をしていない。今はこのまま吸っていた方が吉だろう。きっとやめた瞬間に私にもその刺激臭とやらがきてしまう。
『…?』
林を抜けた先にある木造の建物。月明かりに照らされたその建物は、今にも崩れてしまいそうな、頼りない外観をしている。それにぶら下がるかのように、何かが揺れていた。キラリと糸のようなものが反射した。
蜘蛛…だろうか。
その割には大きすぎる。見た感じ人くらいのサイズ、またはそれ以上か。
どうせ私の幻覚だろう。
「い、家と、人面蜘蛛か········?」
『見えてるのか。あれ』
「見えるが」
『…ふむ。てっきり私の幻覚だと思っていたのだが』
つまり、あれが鬼なのだろう。考えなしに特攻して返り討ちにあってもたまらない。攻撃は基本情報を揃えてからの方がよいだろう。まだ敵とも限らない。
そういえば、先程先輩が何かを言いかけて終わっていたな。
『で、先輩。鬼ってなんなんですか』
「ああ。それなんですけど…」
なんて坂口先輩が語り出した。
・鬼は人を喰らうこと
・鬼を狩る組織・鬼殺隊なるものがあること
・日輪刀でないと鬼は倒せないこと
・太陽に弱いこと
・鬼は血鬼術なるものを使うこと
どうやら鬼は敵で間違いなさそうだ。
そしてもういくつかの情報も出してくれた。
・どうやらポートマフィアの他にも武装探偵社や天人五衰等の組織も来ているということ
・ポートマフィアは武装探偵社の方へ向かっていること
・既に武装探偵社員と組合が接触していること
武装探偵社とポートマフィア、組合が合流するかもしれない。最悪だ。ただでさえ横浜で暴れてくれた三組織。テロの件でも協力を仰いだらしいじゃないか。
『どうするんですか』
「あともうひとつだけ悲報が」
「まだあるんですか」
「…太宰君も来てますね」
異能力じゃない…?
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時