.城の崎にて【志賀直哉/鈴凛】 ページ22
「ちっ」
複数の異能反応。一気に増えたあたり、常時発動型、普段使いの異能以外を使う奴が増えた。
その反応が、まばらにちらばっていく。使役型の異能か。状況把握のために一斉に動き出したようだ。
嗚呼、複数使役型と単数使役型がいるな・・・。反応的に片方はポートマフィアのボス、もう片方は猟犬の・・・、なんだったか。まあ、良い。別に名前は重要ではない。
どうするか。わざと見つかりに行く?
特殊状況だ。一時的な共同戦線を組めるかもしれない。だが。異能反応が刻一刻と迫ってくる。
「考えてる、暇ねぇか」
相手にのみ情報を与えるのは得策ではない。
相手の目を掻い潜って、麓の方へ降りていくべきだ。
断崖絶壁、生え渡る木々。あちらこちらに落ちている蜘蛛の死骸。隠れるにしたって、木の陰では心許ない。かと言って他に・・・・・・。
首を振り、あたりを見渡すと、崖に洞窟のような窪みがある。近づいて中を覗いてみると、真っ暗闇だが異能、その他の反応もなく、人、動物の気配もしない。一度ここで、やり過ごすべきだろう。洞窟の中に入り、異能反応が近づいてくるのに、しゃがみ込み、口に手を当て息を押し殺して、身を丸める。
一通り、異能反応が離れ、止むのを待って、ふ、と力を抜いた。
洞窟から抜け、麓へ異能、その他の反応を避けながら、歩みを進める。
さて。麓が見えるところまで来たのはいいが、広がるのは田園風景ばかり。
時間も遅いからか、人影は一切として見受けられない。
情報を得るにしても、人がいないのなら一気に難易度が上がる。
どうしたものか、と足を止める。
「やあ、志賀君」
突如現れた声と異能反応に飛び上がる。恐る恐るそちらを見れば、首だけを出したゴーゴリの姿。
「・・・・・・連絡は狼煙だったはず」
「ん〜、ドス君が合図を出すときはそうだろうけど、僕が合図を出すなら、こっちの方が早いじゃないか」
「効率廚か・・・」
はあ、とため息を吐く俺を他所に、ゴーゴリは声をあげて笑う。
お前なあ、と、目線を合わせると、いつの間にか上半身を出していて、手首を摑まれ、グッと引っ張られた。
「うわ、ま、っ」
頭から地面に落ちそうになり、反射で手を地面につき、其の儘前転するように、くるりと回って着地した。
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時