.素晴らしきかな、未知!【下津鶴草/栗まんじゅう】 ページ20
『ポオさんか』
「その通り!吾輩こそがかの"知の巨人"エドガー・アラン・ポオ……って違うのである!!!」
『今日もノリが良いな』
至極いつも通りのポオさんと遭遇し、若干安堵しながらも実験を邪魔されたという事実に少し腹が立つ。
組合内には私の"実験"を止めてはならないという暗黙の了解が存在する程なのに。
『何故止めた?』
「いや友人があからさまにヤバそうな蜘蛛に自ら腕を差し出そうとしていたら誰でも止めるのである……」
友人という言葉に一瞬呆けるが、そういえば彼とは友人関係にあったことを思い出して納得する。
『そうか。ならば縁を切ろう』
「え?!」
『満足に実験も出来なくなるような枷ならば必要無い』
「え?!」
『冗談だ』
実は割と本気だったりするのだが、今回はポオさんのノリの良さに免じて許してやろうと思う。
そうして草木を掻き分けながら森の中を進んでいれば、遠くの方からやけに聞き覚えのある声が聞こえて来た。
少し声の元へと近づきつつも念の為少し警戒しながら様子を伺うが、その話し声の正体が己の敬愛する上司と同僚達である事に気が付き、私達は木々の隙間に体をねじ込み姿を現した。
「おや、研究者殿じゃないか」
『フィッツジェラルド様!』
お怪我は無いだろうか。
そう思い、気持ち小走りでフィッツジェラルド様の所へと駆け寄って行くが、そこに辿り着く直前、足元に何か柔らかいものを踏んだような感触が走り慌てて足を退けた。
__見れば、気絶した様子の酒飲み仲間、白銀さんでは無いか。
『……すまない』
気絶しているので当然聞こえていないのだろうが、少し申し訳なくなり小声で謝る。
正直かなり思いっきり踏んだと思うのだが、それでもスラム育ちであるという白銀さんが目を覚まさないとは、もしかして……。
『酒を飲んだか……?』
阿呆かと言わんばかりにポオさんのお供のアライグマさんが噛んでくる。
いっその事全員酒を飲んで酔っ払った事にしておけば楽だろうに。
馬鹿な獣だと思いながらもそっと白銀さんの様子を伺えば、銀色のまつ毛がふるふると震え出したのが見える。
どうやら目覚めるようだ。
____
森の中を散策してからかなり時間が経った。
白銀さんが起きてから、その後も何度かやり取りをしたのだが……
(さて、どのタイミングで謝ろうか)
未だに未知の蜘蛛は森の中のあちこちを這っていた。
一体刺されたらどうなるのだろう!
⠀
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時