.見知らぬ土地【白銀琥珀/魑魅零】 ページ1
浅い眠りから目覚めたような無気力感と違和感が、身体を襲う。今夜はどうも寝つきが悪かったらしい。
…それもそうか。
なぜなら私は今日、家に帰るのが面倒でソファで睡眠をとったからだ。レム睡眠にたどり着けるわけがないから、この目覚めは妥当だろう。
とりあえず起きよう。空にはまだ星が出ているし、確実に夜だが、このままではまた浅い眠りから目覚めるのが落ちだろう。
じゃり_。
『…?』
起き上がろうと、床に手を着いた。否、地面に手を着いた。そこで気が付く、感じた違和感の正体。
『ッ!?』
はね起きるーといっても、立った訳ではなく座った状態になっただけなのだがー。
屋内で満天の星空など見れるはずもない。スラム育ちの私がソファなどという高級寝具で寝られぬはずもない。ビルに砂の地面などあるはずない。
急に頭が冴えてくる。
フィッツジェラルド様が寝ている部下を屋外に放り出すような真似はまずしないだろう。他の構成員も同様。つまり、外部からの攻撃しかない。
取り敢えず、辺りの視察を…。なんて考え、顔を上げる。
『っぇうわ!?』
「うわ…じゃねえよ」
『し、師匠…』
顔を上げた瞬間、目の前に顔が現れた。普段何かで驚くことなどないため、驚きなれておらず変な声が出てしまった。
顔の正体といえば、私を覗き込んでいた師匠こと、ブリッシュ・フィグティーだ。
「HAHAHAHA!白銀くんを驚かせるとは!面白い!」
「…」
辺りを見てみれば、フィッツジェラルド様と、今の状況にか私にか、少し呆れた様子の下津さんも立っていた。私のびっくりした顔に笑っているフィッツジェラルド様に少々苛立ちを覚えるが、主であるため目を瞑っておくとして…。
イマイチ状況が飲み込めていない私を見て、下津さんが口を開く。
「私たちも寸刻前に目覚めたばかりなのだが、どうやらここはどこかの山の中らしい。
白銀さんで目覚めたのは4人目だ。
何者による犯行なのかはまだ分かっていないが、天人五衰によるものではないかと私たち3人の間ではなっている」
相槌を打ちつつ、脳内を整理していく。
状況はだいたい分かったが、取り敢えず全員目覚めるのを待った方が良いだろう。
『なるほど…。まぁ私たち組合だけが狙われる理由もないし、他の組織もいくらか来てそうだね』
探してみようか。
なんて立ち上がろうとすれば、
「まずは全員目覚めるのを待つんだろ」
なんて師匠から正論を言われ、そうですね。と一言返した。
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時