キッズ？！2 ページ3
辞表を提出したあの雨の日
わたしはその日に辞表を出すことで頭がいっぱいで、天気予報なんて見ていなかったので、傘なんて当然持っていなかった。
『最悪…』
会社の最寄りまではなんとか小雨だったので小走りで来れば酷くは濡れなかったものの、自宅の最寄りまで行くとバケツをひっくり返したような雨に変わっていた。
『もう、、なんでこんな時にお財布までないのよ…』
途中で傘を買おうと立ち寄ったコンビニで、バッグの中に財布が入っていないことに気づいたわたしは、この際だからびしょ濡れになって大泣きしながら悲劇のヒロインぶって帰ろう、なんて考えていた。
そんな時、子供の声が聞こえた。
？「お、お姉さん…」
『へ？』
声をかけられた方を見ると、整った顔をしているが、まだあどけなさを残す少年がわたしを少し怯えるようにして見上げていた。
？「あ、、あの、、僕、傘、持ってます、、もし良ければ、、使ってください、、」
コンビニのガラス越しにわたしを見ていたのだろうか、小さな青い折り畳み傘を渡してくれた。
『どうもありがとう！でも、君の傘がなくなっちゃうから大丈夫だよ！』
？「あ、僕、弟が5人いるから、傘まだたくさん持ってます、だから大丈夫、、」
たしかに彼の後ろには、彼の影からわたしを怯えたように見つめる子や、睨む子、口を開けてみている子など男の子が5人いた。
『へえ、大家族なんだね！羨ましいなあ。
……そういえば、おんまやあっぱは？』
そう聞いた私は、そこで地雷を踏んだことに気がついた。
全員の表情が一気に曇ったのだ。
？「あの、、これ、、、」
そういって長男らしきこの子が渡してきたのは、一枚の薄いメモ用紙。中にはこの子たちの母親らしき人が綴った文章が並んでいた。
「 これを読んでいる方へ
私たちには、6人もの子供を育てる資金がありません。
離れたくない気持ちはやまやまですが、どうか、この子たちを幸せにしてあげてください。
どうか、どうか、よろしくお願いいたします。」
どうやら私は、この春の雨の夜、辞表を出したこの日の夜、とんでもない子供達と出会ってしまったらしい。
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オンニ(プロフ) - すごく面白かったです！執筆大変だと思いますが、楽しみにしています(*´ω`*) (2022年2月6日 16時) (
レス) @page36 id: e5793f4187 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - チェヨンさん» ありがとうございますっ//// (2020年8月12日 23時) (レス) id: c5379603d0 (このIDを非表示/違反報告)
チェヨン - エグいいっ////nice (2020年8月9日 6時) (レス) id: 63cd4095fc (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ちぇよちゃのえくぼさん» わああ！楽しんでいただけててよかったです！！かわいすぎてほんと食っちゃいたくなりますよね！！！！ (2020年7月15日 12時) (レス) id: c5379603d0 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇよちゃのえくぼ - ひらがなててとぐうたんの破壊力えげつないです、、。おいっ！じみんしぃ！なんなんだお前は！かわいすぎるだろ！！！←← (2020年7月15日 0時) (レス) id: aef3ed9d84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2020年5月20日 0時
