ゆめつげ【名探偵コナン短編】

3 , 古巣に帰れェ！！！ ページ7

近年裏社会を賑わせる存在が出現した。

「ノックであるとバレた潜入捜査員を古巣に送り返す？＿＿メリットが見当たらん。ガセだろうな。」

「いやーそれがな？本当みたいなんだよ、アカイ。今お前が潜入してる…何だっけ」

「黒の組織」

「そう、それ。そこに潜入してたCIAの奴も送り返されたらしいぞ」

「ホー…どんな風に、送り返されるんだ？」

「それがなー……」

赤井秀一は戦慄した。
これが裏社会か、と。
人の尊厳をここまで無くすことが出来るのか、と。
自分はこんな風にはなりたくない、と。

「そいつ、男だったんだけど女装した状態で送られてきたらしいんだ。宅急便で。」

段ボールに『ナマモノ』って貼られてたらしいぜ〜！
そう言って笑う同僚の声が遠く聞こえる。

(いや、おかしいだろう。古巣に送り返すだけの能力があるならどこかの組織に属していてもおかしくない、だがそんな無意味な行為が組織の利益になるとは思えないな……個人での活動か？…だとしてもメリットは無に等しいだろう。CIAのノックは知り合いか何かだった？…違う。こいつの話だと送り返されたのは複数人居る筈だ。その全員と知り合いだとは考え難い……ああ、でも、とにかく、)

女装は、したくない。

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そう考えたのはいつの自分だったか。
ジンの捕獲作戦に失敗した赤井秀一は宅急便で古巣に送り返された。

「アッハッハッハ！秀一(シュウ)、最高！」

「……」

「んふッ！……ふふふふふふ」

「ハハハハハ！！センスあるなぁ！！！あははははは！！」

「もう、何とでも言え……」

段ボールに詰められた赤井秀一は、フリルをこれでもかとあしらった赤いドレスを中途半端に着せられていた。
胸元には大きな折り紙で出来た星が縫い付けられている。
ドレスは美しいのに、これのせいで雰囲気はぶち壊しだ。
しかも、赤井の髪は綺麗に結われていた。
三つ編みツインテールである。
赤井の髪は無駄に長いので結構様になっている。
勿論化粧も施されていた。
ブルーのアイシャドーに真っ赤なルージュ。目元のクマにはコンシーラーとファンデーション。
最後に一緒に送られた赤井愛用のニット帽の中には手紙が入っていた。

『ダイナミックハニトラはやめておけ。過失は絶対に50:50じゃないし相手が可哀想だろ。
(中略)
ドレスはお前の肩幅広すぎて入らなかった。
後、ずっと帽子被ってるといつか禿げるぞワカメ野郎。というか禿げやがれ。

追記:ハニトラ相手はお前の従姉妹だぞ』

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