ゆめつげ【名探偵コナン短編】

・ ページ28

「なっ…何をするんです！？」
「ふ、ナニをって……ねぇ？」

ここは訓練室。
エントランス前に現れた風見くんを気絶させて運び、眠る彼に手錠を掛けて格子に括った。
で、今さっき起きた風見くんからすごい顔で見られてる。

「言ったじゃない。歓迎会って…。開始は合図から３秒後。ま、頑張ることだね」

悪役っぽく笑って訓練室を出る。
それと同時に訓練室の照明が落ちる。後ろから狼狽える風見くんの声が聞こえた。
３回だけ、拍手をする。

3
2
1

「ゼロ！諸君、歓迎会開始！」

パッと電気がつく。
目を開いた風見くんの目の前には昨夜ゾンビと化した班員達が！

「おわっ…！？」

風見くんはギリギリで班員の飛び蹴りをかわすが、手錠でそれ以上動けないことに気付く。

「さあ新人くん！全力で逃げると良い！キミが彼ら全員を振り切ってここまで来れたらキミの勝ちだよ！」

訓練室の上に位置するホールから声をかける。

「この状況からッどうしろとっ！！」
「うーん、まずは手錠を取る所からだねぇ。教えただろう？」
「くっ…！」

苦悶の表情を浮かべながらも手錠と班員の攻撃に奮闘する風見くん。
そう。この歓迎会は新人の「ギリギリ出来る」を引き出す為の新人研修だ。
だから、キッチリやれば風見くんはこの状況を打破出来る筈なのである。

「っ……！よしっ！」
「おっと、気を抜いて良いのか？」

どうやら手錠は外せた様だが、今まで手を抜いていた班員が本気で殴りかかる。
風見くんは腕でガードするが、そこは新人。ダメージを受け流せていない。

「新人くん。正面から殴ってくる、力の強い敵には？」
「………！…先輩方、すみませんっ！」

教えたことを思い出したらしい。
まず拳が正面から迫るのを横に避けて、そのまま背負い投げした。一度やられた班員は動かないよう指示しているので、これで風見くんは一歩リードしたワケだ。
だが、１人倒せた様だが班員はまだたくさん居る。

「風見ぃ、同じ手は食らわないぜぇ！」
「ぐっ、そうきましたか…！」

中々歓迎会は白熱してきた。

「…さて」

準備運動でもしましょうかねぇ

・

風見くんがピンチになったらヒントを、余裕を持てたら班員をプラス、を繰り返していき、ついに彼は私の所まで来た。

「ラストはやはり、貴女ですか…。」
「うん。察しが良いねぇ…キミ」
「ふふ、貴女の部下ですから。…それでは行きます」
「いいよ…ああ、言い忘れてたけど＿＿」





私、高校柔道の無差別級チャンピオンだったの

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