「俺は体だけは頑丈なんだ。」 ページ44
闇医者の胸ポケットからピリリ、とシンプルな着信音が鳴り響いた。
ニタニタ笑いの闇医者はポケットからそれを取り出し、耳に宛てた。
「…うん…うん。わかったよ。」
それだけ言って、わずか1分未満の着信を切る。
そして携帯をポケットに戻し、立ち上がった。
「じゃあこの子は病室に送っとくよ。傍にいるんだろう？」
「当分は暇だからな。目が覚めるまで一緒にいとく。」
「ひひっ、暇人だね。じゃあ、君の宿泊のための準備をさせておくよ。」
「泊まるとは言ってないんだが…」
「泊まらないのかい？」
「…」
なんだこの有無を言わせない質問は。
あきれ返ったような、今更の感情が浮かび、俺は静かにため息をついた。
眉間に自然に皺が寄るのがよくわかる。
中指と親指で、眉間の皺を伸ばすように揉んだ。よく雄人に、皺が残っちゃいますよと言われていたのを覚えている。
「…泊まって大丈夫なのか？」
「どうせ闇医者だから、残念ながら病者も少ないしね。ただし、退院時はがっつり貰うよ。」
「あー…ツケとく。」
ひひひっ、と面白そうに笑いを零す闇医者。
確かに、この病院は小さいしボロいしで、患者も少なさそうだ。
ナースも一人二人しか見かけたことないし、辛うじてやっていける状態なのだろうか。
と思ったが、外で集団の足音が聞こえたので、やはり裏関係の客は多いのだと理解した。
「じゃあ私は行くからね。新しい患者が入ったんだ。」
コツコツと足音を鳴らし、薄汚れた白衣をはためかせながら闇医者は扉まで歩いて行った。
ちょっと待て、こいつは俺が病室まで運ばなきゃいけないのか。
そんな俺の考えを見透かしたかのように「あとで人が彼女を病室に運ぶからね。」と闇医者が振り向きざま言う。
扉の取っ手に手をかけた闇医者は、一瞬だけ笑みを消して俺を見つめた。
柄にもなく、ぞくりと産毛が逆立つ。
「次の患者は、君にならないことを祈るばかりだよ。」
「…お生憎様だな。俺は体だけは頑丈なんだ。」
「そうかい、それは残念だ。」
言っていることが矛盾しているのだと、この男は気づいているのだろうか。
寧ろわざとやっているのだろうか。
「…これから見に行く患者は、醜いくらいに壊れているといいなぁ…」
ひっひっひ、とわざとらしい笑みを去り際に残していくこの闇医者の性格はかなりの性悪と言って過言はないはずだ。
「悪趣味だな。」という俺の台詞に、闇医者はさらに面白そうに笑った。
机の上の肉片つきメスに気付くのにあと5分。
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません！今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます！ (2014年7月1日 0時) (
レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです＞＜勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってｗｗそれもし食べてたら・・・（ｐ・Д・；）ｱｾｱｾ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます！作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO！そういわれると本当に頑張れます、感謝！ (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うにゃ | 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月29日 22時
