「――何なんだよッ!!!」 ページ29
ぐっと押し黙る彼らに、私はもう何も言うまいと口を閉ざした。
そしてゆっくりと、ベランダの方へ歩き出した。
どうしてまだ、合図がきていないんだろう。
何か、異常でもあったのかな。
でもそろそろ限界。
そろそろ会話するのが辛くなってきた。
せめて様子だけでも、と私はベランダへ向かう。
それを飛び降り自 殺と勘違いしたのか、複数の男子が突然立ち上がった。
そして私の前に立ちふさがる。
「…なんだこれ。」
酷く冷淡な声で、私は半ばぶちまけるように尋ねた。
何、してんの?こいつらは。
「…ッ」
口を開こうとしない、歯を食いしばっている、黙ったままの三人の男子。
どれも見知った顔だ。
どれも、事件の前までは普通に話したりしたことがある。
…とはいっても、挨拶とか軽い会話しかすることが出来なかったけど。
「答えろよ。」
答えを催促しても、何もかえってこない。
返答どころか、声すら聞こえない。
いつもはおしゃべりなくせに、こういう時だけ黙るって都合のいいですねー。
まぁ、反対の立場だったら私も押し黙るかな?
私だったらこんなバカなことはしないけど。
根拠もなく、誰かが泣いたからって、まるで操られているかのように述べられたストーリーを信じて、そして一人を追い詰める。
そんな、夢物語みたいな話を現実にしろだなんて無理がある。
でも、今目の前にその現実が広がっている。
そして私がその夢物語の中の登場人物だ。
これを読まれているとしたら、私は今うまく立ち回っているかな?
ストーリーの中の重要登場人物として…いや、脇役だとしても。
私の人生は、誰かの娯楽になれるほどのものであったのかな?
そんなこと、わかるはずもないけど。
「答えないなら、そこをどけよ。」
それでも動く様子を見せない。
彼らの瞳には強い色が宿されていた。
そこに映る私は、どれだけ滑稽なピエロなの?
答えがないくせに、どきもしない。
なんて自分勝手なんだろう。
まぁ私が言えたことじゃないけどね、もちろん。
「聞こえなかった?」
一歩、と歩を進めていく。
三人との距離が近くなる。
それでも、少しの動揺を見せただけで、まったく動く気配がない。
頑固だなぁ…。
「どけって言ってんだけどさぁ。」
もう一歩、近づく。
もう顔の細部まで見える位置に立っていた。
それでもどく様子を見せない。
…もう、何なのさ。
何なの、さ…
…ッ、
「――何なんだよッ!!!」
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません!今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます! (2014年7月1日 0時) (レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです><勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってwwそれもし食べてたら・・・(p・Д・;)アセアセ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます!作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO!そういわれると本当に頑張れます、感謝! (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年11月29日 22時