「俺は最初っから一人ぼっちだ。」 ページ25
「な、なんで…」
「あ?」
震えた声が唐突に割り込んできた。
が、私の乱暴な声にまるで空気の抜かれた風船のようにみるみる萎んでいく。
「…いいから言えよ。」
それに毒気を抜かれたように、私は尋ね返す。
見れば、それは前に愛想良くしてくれたヴィックという男子だった。
前に、とある男子生徒に「俺この学校で友達作るつもりないし、お前を友達だと思ったこともないよ?」とGJな台詞をはいてくれた男子だった。
「なん、で…もっとちゃんと、しっかり、反論しなかったんだよ…」
…………………は?
有り得なさすぎる質問に、私の脳内は一度機能ストップをしてしまった。
しばらく、頭の中でちゃんと整理してみようと思ったが、やっぱり無理だった。
「は?」
そのせいで思わずそんな言葉が出たとしても、私は悪くないだろう。
胸を張ってもう一度繰り返すけど、私は悪くないだろう。
「だ、だって、今みたいに、言ってくれたら…」
「信じてくれたって?」
明らかに不機嫌なトーンを含んだ私に、ヴィックは肩をびくりと震わせた。
その様子がおかしくておかしくて、私は右手で額を覆う。
「はっ、」
思わず笑いが零れ落ちてしまったが、どれだけおかしくても大爆笑をする気にもなれなかった。
それほどまでに、彼の質問に脱力してしまったのだ。
「誰が信じてくれたよ。反論?「私はやってない」で何が足りねーっつうんだ。俺にとって、「誰ももとから私という存在を信用してくれたことはなかったんだ」っていう事実があればそれで充分なんだよ。そうだろ?」
同意を求めるが、誰も私に同意してくれる気配がない。
それとも、私だけだった?違うでしょ?
「考えてみろよ。もともと誰か一人でも俺を信じてくれたなら、「私はやってない」って言った時にさ、少なからず「もうちょっと詳しく聞かせてー」とか「本当にやってないの?」とか声をかけてくるもんだろ?で、お前らが見せた反応は「嘘つけ」。」
これが何を意味するか、お前らみたいな残念な頭でも理解できるだろ?
そう尋ねれば、ヴィックは気まずそうに俯いた。
だってお前、俺だって友達だと思ってないんだろ?
前はあんなに仲良くしてくれてたけどさ、結局友達作るつもりないんだもんなぁ?
そんなことを、言いたくとも心の中だけで留める。
あぁ、私ってば相変わらず優しすぎるって本当。
まぁ、これから始まる惨劇はさすがに優しいとは思えないけど。
「結局そういうことだろ?俺は最初っから一人ぼっちだ。」
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません!今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます! (2014年7月1日 0時) (レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです><勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってwwそれもし食べてたら・・・(p・Д・;)アセアセ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます!作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO!そういわれると本当に頑張れます、感謝! (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年11月29日 22時