3-1満月より三日月が好きだ、と言えば通っぽいでしょう? ページ8
ガツガツと敦が何杯目になるのかわからない茶漬けを掻き込んでいる。
「あの国木田さん、ご存じで?じゃがいものデンプンには毒があるのですよ!」
「ねぇ国木田くん、知ってる?世には首吊り健康法っていうのがあるのだよ!」
「なに!?知らなかった……本当か!」
「「嘘」」
「おいいいぃぃ!!」
(これはコントだろうか)
茶漬けを腹一杯食べた敦はそんなことを考える。
ゴクリと最後の一口を飲み込み、敦は心も満たされた。
「はぁ〜うまかった。助けていただきありがとうございます!」
「いやあ、気にしないで」
「人として当然のことをしたまでですよ」
「俺の金だけどな!」
「おや、そこの美人さん……」
またも太宰が店員を心中に誘い、国木田がそれを止めた。
先程の会話を誤魔化されたが気づくことはないだろう。
「あはは……えっと、それで、皆さんはなんのお仕事を?」
「なぁに、探偵さ」
太宰が手をヒラヒラさせながら笑う。実際には探偵とはほとんど名ばかりなのだが。
「探偵?」
「武装探偵社、といえばお前も聞き覚えがあるだろう」
「えっ、あの!?」
「そうです。あの。……まぁ私は違いますけどね」
じゃあ何をしているのか、敦が聞こうとしたのを太宰がわざとらしく遮る。
「国木田くん、彼にも聞いたら?」
「は?ああ……今、俺たちは虎探しをしてるんだ。小僧、何か知らないか?」
「と、虎探しッ……!?」
がた、と敦が椅子から崩れ落ちた。動揺しているのはあきらかで、二人は鋭い視線を敦に向ける。
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作者名:萩原三月 | 作成日時:2018年8月15日 17時