トリップ少女の愉快な冒険【ハリーポッター】 (ページ27)

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24話ページ27

船の中は凍えそうな寒さだった。

氷のような波しぶきと雨が首筋を伝い、刺すような風が顔を打った。

何時間も経ったかと思われる頃、船は岩でできた小島にたどり着いた。

そして僕らは、バーノンおじさんを先頭にオンボロ小屋へと向かった。

小屋の中はひどかった。

海藻の匂いがツンと鼻を刺し、壁の隙間から風が吹き込んでいた。

おまけに火の気のない暖炉は湿っていた。

おじさんは、暖炉に火を入れようとポテトチップスの空袋に火をつけたけど、くすぶってチリチリと縮んだだけだった。

バ「今ならあの手紙が役立つかもしれんな」

おじさんは楽しそうに言った。

おじさんは上機嫌だった。

こんな嵐の中、まさかここまで郵便を届けに来る奴はいまい、とでも思ってるんだろう。

僕もおじさんと同意見だったけど、上機嫌にはなれなかった。

夜になると、嵐が吹き荒れた。

波しぶきが小屋の壁を打ち、風が窓をガタガタ言わせた。

おばさんが奥の部屋からカビ臭い毛布を4、5枚見つけてきて、ダドリーのためにソファの上にベッドを作った。

おじさんとおばさんは、奥の部屋のデコボコしたベッドに収まった。

僕とAは床の柔らかそうなところを探して、一緒に毛布にくるまった。

貴「ハリー、狭くない？」

ハ「大丈夫だよ。Aこそ、大丈夫？」

貴「私も大丈夫」

どんどん激しさを増す嵐の中で眠れるはずもなく、僕らは喋っていることにした。

ふとAがダドリーの方を見た。

ハ「どうしたの？」

貴「ハリー、あと十分で十二歳だね。」

そうだ、最近色々なことがあってすっかり忘れていたけど、もうすぐ僕は誕生日なんだ。

貴「ごめんね、まだプレゼント用意できてないんだ。ここから出たら、すぐにあげるね。」

ハ「ありがとう、覚えててくれただけでも嬉しいよ。」

あと五分………三分………一分……三十秒……十…九……三…二…一…

ドーン！！

突然大きな音がして、小屋中が震えた。

僕はビクッとしてドアを見つめた。

誰かが外にいる。ドアをノックしている