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「『幻出』長船兼光」
その言葉と共に何もなかったところから刀が出てきた。
それも、目の前の本物と同じものが
五「うん、できてるね。その調子でここにある呪具のほとんどを幻でできるようにしな」
「はい」
もっぱら最近の修行はこれだ。本物の呪具を見て、触り、自分の術式で出せるようにすること。
師匠曰くどんな状況になっても対応できるようにだとか
五「ま、もし時間があったら呪具の複数出しができるようにしといて。呪力相当使うだろうけど、多分今のAの呪力量だったら大丈夫でしょ」
「わかりました」
五十剣や百剣はあれは一つの技、故に複数出しではない(そもそもあれは呪具を模したのではなくただの剣を想像したものである)と師匠は以前言っていた。
「(長船兼光は大分できるようになったし・・・次はこれかな)」
そこにあった弓矢を手に取って感触を掴む。
これなんて読むんだろ・・・はまや?
そんな風に考えていると
五「んで、学長から聞いたけどお前授業出てないんだって?」
ギクッ
「う、あの・・・はい」
五「なんで?お前そんな勉強嫌いだったっけ?」
「いや、その」
言えない。
早く力をつけたいからだとか
傑さんにつながる情報が欲しいからだとか
それに、師匠は元々強すぎるから多分わかってもらえない
どうしよ・・・
五「・・・お前が言いたくないならいいけどさ、授業は出とけ。実力ついても頭が弱けりゃ術師はすぐに死ぬぞ」
・・・・多分ここで反抗したら、めんどくさいことになるか・・・
「わかりました・・」
五「ん、次はいつ会えるかわかんないけど、頑張って」
「ありがとうございました」
師匠は今日、3ヶ月ぶりに会えた。
現在は1年生の担任と任務と、恵の修行と大忙しな師匠
「(・・・授業の出席日数は調整しているが・・・まぁもう少しだけ増やそう)」
師匠も一応弟子の私に修行を見てはくれるが、昔ほど見ていない。
多分もう、見る意味があまりないのだろう。
「(ひとり立ち・・・ってやつかな。まぁもう1級だし・・・)」
師匠的に私の修行というのはそこまで重要ではないんだろう。
「(・・・・ちょっと寂しかったり)」
いや甘えるな
私は師匠の弟子で
恵の姉弟子
「(・・・強くならないといけない理由が多いなぁ)」
もうちょっとしたら授業がある。
流石に師匠に言われたばっかりだ。今日はちゃんと出よう。
私は教室に向かって歩き出した。
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作者名:あや | 作成日時:2023年10月15日 14時