85 ページ20
気づけば夕方になっていた。
「(結局、何もいえなかった・・・)」
七海さんの悲痛な叫びを、私は聞くだけだった。
だってそうだ、私は何かあっても師匠がいるという、かなり安全地帯で生きているような人間。
そんなの、何を言っても綺麗事に過ぎない
「これが、当たり前、かぁ・・・」
師匠達が強過ぎて忘れていたが呪術師の世界はいつ死んでもおかしくない。
わかっていたはずなのに
「(・・・しんどいな)」
これがもし、もしだが師匠がいなくなったり、傑さんや硝子さん、七海さん、先生まで消えたりしたら・・・
「ははっ・・・どうなっちゃうんだろ」
命の価値、それが今私の中でひどく、重く、のしかかってきている。
とてもじゃないが修行をやる気が出ない。
「でも、やらないと・・・強く、ならないと・・・」
強くなって、非術師も、高専のみんなも守りたい。早く、強く・・・
五「_おい、聞こえてる?」
「えっ」
いつの間にか師匠が目の前にいた。いつからそこにいたんだろ、全く気づかなかった。
五「ぼーっとしてたろ。大丈夫か?」
「あ、はい・・大丈夫です。それより師匠、なんでここに・・」
五「任務か?さっき終わった。んで、練習がてら瞬間移動してきた。」
「まだ長距離はできないって言ってたのに・・・」
五「長距離はできなくても短距離を複数回に分ければいいだけだからな」
「お疲れ様です・・・」
五「おう・・・灰原に、会ってきたのか?」
「は、い・・・」
五「俺も今から行ってくる。今日は早く帰って休め」
そう言って師匠はスタスタと私がきた道を歩いていった。
師匠のいう通り、今日はもう帰って休もう・・・
そう思い、足を無理やり前に出して歩き出した。
そこから残りの夏休みは修行に明け暮れた。
任務も少しずつ行い、次の任務からは師匠の付き添いなしでの任務にあたれることが決まった。
修行という名の師匠との手合わせはボコボコにされるのは変わらないが、かわせるようになってきた。
いや、どうだろ・・たまたまかもしれない。
傑さんは相変わらず任務の間に私に体術を教えてくれている。
敵の攻撃の避け方。その際の体の使い方、目線など、任務で大変なはずなのに付き合ってくれている。
でも・・・
「(クマが濃くなってる・・・)」
傑さんはどんどん、衰弱しているように見えた。でも、聞き出す勇気は、私にはない。
そして、夏休みが明け、9月になった。
127人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - さとさん» ありがとうございます!全力で描かせてもらいますのでぜひ続編の方もお願い致します!! (8月6日 11時) (レス) id: db0fd9ce69 (このIDを非表示/違反報告)
さと - 百鬼夜行編とても楽しみです!いつも面白い話を提供して下さりありがとうございます! (8月6日 7時) (レス) @page27 id: cdb499747b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あや | 作成日時:2023年7月31日 12時