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y「もしもし…?」
泣き止んではいたものの、あいかわらずか弱い彼女の声が聞こえた。
「…実は、Aに聞いてもらいたいことがあって。……聞いてくれる?」
僕がいうと彼女は
y「……わかった。」
と言ってくれた。
「…オーディションのこと、Aには辛いかもしれないけど、PDニムが説明してくれるから、聞いてね。」
僕の前置きのあと、彼が話し出して、僕らはみんな真剣に耳を傾けた。
P「……みんなもわかってると思うけど、A、君の能力はすごいよ。本当にすごい。」
y「…」
P「…まぁ、はっきり言うならそれが不合格の理由かな。」
「え?」
P「…君はあまりにも完璧すぎたんだよ。だから、周りにいる人のよさを全て消してしまう可能性があった。」
y「…そんな」
P「…君が受けたのは、全部グループのオーディションだったよね。」
y「はい。」
「もし、グループの中にとんでもないオーラをもった完璧な人が入ってしまったら、そのグループはうまくいくと君は思う?」
…彼の言いたいことがなんとなくわかってきた気がする。
P「……俺らは君が受けていたオーディションをチェックしててさ。…君は本当にすごい才能を持っているから、実は、主催者に直談判して君をうちの事務所にもらおうかなんて話も上がったくらいなんだよ」
y「……」
P「君が努力すればするほどその才能は輝いて、ますますグループじゃ収まりきれなくなった。………1人で輝く力を持っているのがA、君なんだよ。」
y「…だから、ソロ…なんですか?」
P「そう。キミが最も輝ける場所を俺は提供したかったんだよ」
…なるほど、やっと謎が解けた気がした。
周りのみんなも納得したような表情をしている。
あまりに才能のある彼女は、グループには収まりきれなくて不合格だったんだ。
だから、PDニムは、うちの会社でソロデビューをさせようとしていたんだ。
y「………でも、あの時一言もそんなこと言わなかったじゃないですか……」
P「だってそれはほら、Aがすっごい大きな態度とってて聞かなかったんじゃん笑」
y「まー、それは…」
ようやく戻った彼女の声に僕らは少し安心した。
そして、どこからともなく
拍手が起こったんだ。
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作者名:Muu | 作成日時:2021年1月21日 13時