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「…これ苦いって聞きますけど、苦いの好きなんですか?」
「うーん。最初に吸ったのがこれで、そのまま変わってないってだけ。」
「そーなんですね」
「お前すごいタバコ知ってるよな。」
「だって、結構吸ってますもん私。コンビニのやつは半分くらい試しました。」
「は?」
一生懸命タバコ覚えたんだろうな、健気だな、とか思ってたのがおかしくなってくるな。
「…あ、これ知ってます?」
そう言って彼女が取り出したのはまた違うタバコ。
「SUGAっていうやつ、これは私がいつも吸ってる。…結構甘めなんですよ。…よかったら吸ってみません?」
アイドルみたいな童顔の清楚な女の人から笑顔でタバコ勧められてる俺。
……まー悪くない。
「…一本もらうわ。」
「やった」
箱から一本もらうと、そのまま火をつけて吸い始める。
なるほど、少し甘い風味で女が好きそうな感じだ。
「どうですか?」
興味津々に覗き込む彼女。
さっきまでちょっと元気なかったくせに、俺と話してるとこんなに嬉しそうにしやがって。
…こうやってみんな落とされてんだろうな。
今になると、コンビニでこいつを気にかけてた奴らの気持ちが分かる気がする。
花が咲いたように笑う彼女を、俺は思わずじっと見つめてしまった。
「…?」
少し顔を赤くして見つめてくるのがかわいくて、
彼女の頭をぽんぽんと撫でながら、さっと顔を逸らした。
「これすっげぇ甘いな。」
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Muu(プロフ) - 秋良さん» とても励みになります。ありがとうございます!鼻血出せるように頑張ります笑。 (2021年6月17日 0時) (レス) id: 350ffc1ce7 (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - こんばんは。初めまして。もの凄く幸せな気持ちになりました。鼻血でそうです。次回も楽しみにしてます。 (2021年6月16日 18時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Muu | 作成日時:2021年6月4日 15時