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あの日から俺はコンビニでも彼女に会い、仕事帰りに道端であったり、とにかく会うことが多くなった。
その度に少々会話をして、確実に距離が縮まっていっている。
気づいたら彼女の姿を探すようになってて、俺もやばいなと思い始めてるんだけども。
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今日も家までの帰路で、ばったり彼女と居合わせた。
「…あ、」
「お、お疲れ様です」
彼女は買い物から帰るとこなのだろうか、大きなレジ袋を持っていた。
「おつかれ…買い物の帰りかなんか?」
「あ、そうです。ユンギさんはもうそのまま帰られるんですか?」
「うん」
へぇ〜と言いながら自然と俺の隣に並ぶ彼女。
「今日は派手じゃないんだな。」
「え?……ああ、まぁ、大学の帰りなんで。親に見られたらやばいし。」
「…一人暮らしなのに?」
「たまに抜き打ちみたいにうちに来るんですよ。連絡きたらその度に荷物を友達の家に運んだりしてるんです」
「…はぁ。大変だなぁ。」
「まー隠せば大したことないから。」
ちょっと顔が曇るところを見たら、大したことあるんだろうな、と思った。
「…貸せ。それ。」
彼女から袋を奪うように持つ。
「え?」
「家まで持ってやるから。」
「…重くないのに。」
「……重そうに見えたんだよ。…袋だけでかいんだな。」
俺がいうと彼女はあははと笑った。
それを見て少し安心する。
「…中身見たらびっくりですよ」
彼女が言うから袋を開けて中を見ると
「……めっちゃタバコあるじゃん。」
食料や洗剤とかと一緒に種類の違うタバコがいくつか入っている。
「新しい種類に手出してみたんです。」
彼女はその中からタバコを一つ取り出した。
「…これ、ユンギさんがいつも吸ってるやつ。私も吸ってみようと思って。」
俺と同じやつ…
なんだよ、ちょっと可愛いとか思っちまっただろうが。
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Muu(プロフ) - 秋良さん» とても励みになります。ありがとうございます!鼻血出せるように頑張ります笑。 (2021年6月17日 0時) (レス) id: 350ffc1ce7 (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - こんばんは。初めまして。もの凄く幸せな気持ちになりました。鼻血でそうです。次回も楽しみにしてます。 (2021年6月16日 18時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Muu | 作成日時:2021年6月4日 15時