6.救済の掌 ページ6
チャイムが鳴り響く。
いつの間にかいじめっ子達は教室に戻っていて、トイレの隅っこで私はただ一人縮こまっていた。
水をかけられたのなんて、初めてだ。
こんなビショビショで教室にいったって、先生に怒られるだけだろう。
どうして、どうして私だけ……、こんな……。
ぐっ、と唇を噛んだ。
やはり涙は出てくる。
『……はくしゅっ…………ん』
ヤバイ。
寒い。寒すぎる。
この時期に水を浴びるのはまずかった。
トイレを探しても、暖かくなるものはないし。
視界が涙でぐちゃぐちゃで、
こんな惨めな姿、誰にも見せたくなくて、
もう、もう、
『消えたい』
「駄目だよ、Aちゃん」
______へ？
聞くはずのない声が聞こえて、私は顔をあげた。
そして、そこにいたのは、
「消えたいだなんて、言っちゃ駄目だよ？」
『な、んで……』
相川さんだった。
頬に手を添えて、しゃがみこんでいる。
にこにこと微笑んで告げたその言葉は、酷く嬉しげだった。
……な、なんで！？
こ、ここ女子トイレ……。
「あぁ、ごめんね、でも授業中だし、誰も入ってないでしょう？」
『そ……う、だけど、さ……』
……あぁ、見られた。
見られてしまった。
ぐいぐい、と涙を濡れた袖で拭う。
だけど、こんな無様な姿を見て、どうして彼は笑っているんだろう。
「僕が助けてあげようか？」
『_______へ？』
「いじめられて、悲しい思いをしている君を、僕が助けてあげようか？」
二度同じことを告げられても、
私の頭は真っ白だった。
助けて、あげる？
なんで？
私はなにもしてない。
そもそも、助けるってどうやって？
無理だよ、相手はスクールカーストの高い女の子なんだよ。
転校早々、相川さんがどん底に落ちちゃうよ。
「ふふ、まるで僕が王子で、君がお姫様みたいだね」
「ねぇ、助けてほしい？」
その言葉が、強く、私の心に打ち付けられた。
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いるよ - あああああああああああ！！！最高です！！なんか最後のところ泣いちゃいましたｗヤンデレにハマってしまった…素敵な作品ありがとうございました！ (2022年12月7日 0時) (
レス) @page45 id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！その後話がもっと欲しい！ (2022年3月9日 1時) (レス) @page45 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
月次 - 僕の好みどストライクのヤンデレです！とっても面白かったです。これでもっと想像の幅が広がる…！ありがとうございました！ (2021年3月28日 9時) (レス) id: 34cc41e784 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬かるら(プロフ) - 心臓が泣き叫んでおります大歓喜 (2020年8月23日 0時) (レス) id: 018ad8bd5d (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» 本当にいつもありがとうございます……！！マーライオンwwwそのくらい泣いてくれたんですね！嬉しいです！私も目からマーライオンです！はい！楽しみに待っていってください！ (2020年2月25日 7時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶯餡 | 作成日時：2020年1月6日 22時
