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「おはよー!」
『おはよう!』
教室に入ると、数人の友達から挨拶がかかる。私はそれに答えるべく、にっこりと微笑んで挨拶を返した。
これが、いつもの日常。
特になにもない、いつもの日常。
「______」
目があった。
目の前の席の彼に。
お互いに呆けた声をだし、無表情でみつめあう。
その10秒もしないうちに、彼の方から目をそらした。嫌そうに顔を歪めて。
_____そう。これが、いつもの日常。
私の名前は山本A。
そして、彼の名前は相川真冬。
彼とは高校に入ってから同じクラスになった。
席も近く、少し話していた程度。
しかし、一ヶ月前彼に私が振られる現場を見られてしまった。私の泣きっ面。縋っているところ。
彼は悪くないのに、私は彼を責めた。
どうしてみてたの、最低。って。
その時は振られたショックで相川のことなんて考えられなかった。
だから相川を責めた。私はひどいやつだ。もう肯定している。
きっと、相川は私のこと嫌ってるんだろうなって。
多分どこかで、私が振られたことを言いふらしてるんじゃないか。
そう思うとなにも言えなくなる。
「A〜?どうしたの?」
心配そうに眉を反り返らせ、私の顔を覗き混んでくる女の子。
響希棗だ。私の親友であり、唯一の理解者。
相川との関係は棗にしか伝えていないほど信頼しあってる仲だ。
『……いや、なんでもないよ!』
「そう?考え事してたけど……」
『うん!ごめんね!心配かけて!』
相川のこと思ってたなんて本人の後ろで言えるわけないだろ!!
そう突っ込みたかったが、相川が前にいる。 言えるわけもない。
まるで前からの圧力で言葉が制限されているみたいだ。
とにかく、私は相川に謝りたい。
あのときはごめんねって謝るだけでいいのに。
あからさまに嫌そうな態度をとってくる相川に、私はどこかで腹が立っていた。
謝れるだろうか。
心でそう思っていながらもなにもしていない私は、きっと臆病者だ。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年3月14日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - リート@暫く浮上しません。さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません……!!ありがとうございます!そういっていただけてとても嬉しく思います!はい!だらだらします!()コメントありがとうございます! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
リート@暫く浮上しません。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最初から最後まで二回も見るくらい、面白い作品でした。羨ましい。ゆっくり休んで疲れを癒してくださいね。改めまして、完結おめでとうございます。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 5e7567a452 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» こちらこそいつもみていただきありがとうございます!!このお話、結構ストーリー凝っていたのでそういっていただけると頑張った甲斐があります!はい!是非楽しみにしていてくださいね!頑張ります! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 絆さん» こちらこそいつもありがとうございます!!あ、その心配はありませんよ!私、めちゃめちゃずぼらですので!!( ・`д・´)ご心配していただけて誠に嬉しく思います!ありがとうございます!!!! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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