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…でも、今思えば


『あいつ、何であんなことしたんだ?』


ポツリ、と独り言を呟く。
どうして棗を傷つけるような発言をしたんだろうか。まあ、怒るときにそれもきけばいいか。




「__あれ、前の……」

『……あっ、一ノ瀬先輩……?』




相川がいるであろう教室に戻ろうとしていたが、道中一ノ瀬先輩と会った。そう、資料室まで一緒に教材を運ぶのを手伝ってくれた先輩だ。
名前を呼ぶと、ふわり、とやさしげに微笑んでくれる。




「帰らないの?」

『いや、相川を……』

「……真冬ならもうとっくに帰ったよ?」

『____は?』




キョトン、として首をかしげる一ノ瀬先輩に、途端に目を見開く。は?帰った?え?家に?は?
棗があの話をするってわかってたとして、それで帰ったんなら……まさか……、







逃げたああ!?!?



『あいつう!!』

「あはは、ここ廊下だから落ち着いて……」




恨むように叫び声をあげると、一ノ瀬先輩は苦笑いしながら私を落ち着かせる。
あいつ性格悪すぎだろ???
都合の悪いときになったら帰るとか……まじありえねえ!




「真冬に会いに行こうとしたの?」

『…………まあ、そんなところです』

「ふふっ、そんなに真冬が好きなんだね」

『なっ……!いやっ!違っ……!』



意図も簡単に当てられて誤魔化しそうになるのをグッとこらえる。事実なんだ。だけど言われると恥ずかしいな。頬の温度が高くなっていく。


 
「えーっと、」

『ん?』




一ノ瀬先輩は自分の鞄を漁り始め、おもむろにペンとメモを取り出す。
そこにすらすらとも字を書き始め、終わったのかとペンを話せば、メモをぴらりと一枚引き剥がす。そして、私に差し出してきた。



「はい、真冬ん家の住所」

『……え?』

「会いに行くんでしょう?」





それを受けとることもできずキョトンとしていると、一ノ瀬先輩はただ微笑んだ。
そのままメモを受けとると、書き出されているのは近くにあるここら辺ではリッチと言われているほどのマンションと号室が書かれている。

……これが、相川の家。お金持ちなんだな。
何て思いつつ顔をあげる。






「行っておいで」

『…………はっ、はいっ!』





目を細める先輩に大きく頷きながら、メモを片手に相川の家へと向かった。









「恋の救世主か何かですか?」

「…浦田くん。そんなことないよ」

「ま、これであいつも更生できるといいですね」

「うん、あの子ならきっと大丈夫」

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作品ジャンル:ラブコメ
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年3月14日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - リート@暫く浮上しません。さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません……!!ありがとうございます!そういっていただけてとても嬉しく思います!はい!だらだらします!()コメントありがとうございます! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
リート@暫く浮上しません。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最初から最後まで二回も見るくらい、面白い作品でした。羨ましい。ゆっくり休んで疲れを癒してくださいね。改めまして、完結おめでとうございます。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 5e7567a452 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» こちらこそいつもみていただきありがとうございます!!このお話、結構ストーリー凝っていたのでそういっていただけると頑張った甲斐があります!はい!是非楽しみにしていてくださいね!頑張ります! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 絆さん» こちらこそいつもありがとうございます!!あ、その心配はありませんよ!私、めちゃめちゃずぼらですので!!( ・`д・´)ご心配していただけて誠に嬉しく思います!ありがとうございます!!!! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鶯餡 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月11日 7時

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