2 ページ2
「えーっと、……明日はまふまふとの打ち合わせでしょ？そんでもって、明後日は___」
ふと、目線を落としていた顔をあげた彼は、私と目が合う。
そこから、数秒間沈黙が作られた。
混乱の中、私は心情で焦っていく。
(ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ！……え！？なに！？なんで！？なにこの人めっちゃイケメン！？……ってかなんでイケメンがこんなとこに！？まさか不法侵入！？そんな、こんなイケメンなのに！？もったいな____)
「_____え、あ、え、と、ととりあえず、とりあえず台から降りて！」
『_____え？』
男性の焦ったような声に、私は現実に引き戻される。
___そうだ。私、自ら命をたとうとして___
掴んでいた布を、ぎゅっと締め上げる。
何思ってるんだ。私は。
早く死ななきゃいけないのに。
『___ごめんなさい。お見苦しいところを見せてしまって……』
「あぁもう！いいから！早く！とりあえず俺と話し合うまでは生きて！そんでもって台から降りて！」
『は、はぁ……』
言われるがままに、私は布を離し、台から降りる。
まぁ、死ぬなんてそこまで時間を必要としないから、どうせ明日の朝になれば死ねるよね。
そんな浅はかな思いで彼を家にあげた。
……小さなちゃぶ台を挟み、互いは目を合わせあう。
すっと、なけなしのお茶を出すと、彼は「あ、ありがとうございます……」と躊躇いながらもお茶をすすった。
そして、コトッ、とお茶を上品にちゃぶ台に置くと、男性は口を開いた。
「__あの、さしでましいかもしれませんが、どうしてあのようなことを？」
『……えっと、まぁ、……何て、言えばいいんでしょうか。……とりあえず、無性に死にたいと思うようになって__』
「……はぁ、自分が入る部屋間違えてよかったって、今は心のそこから思いますよ」
『___え？』
言われてみれば。と納得する。
確かに面識のない男性が部屋に入るなんて、デリバリーとかそんな感じの以外ほとんどない。
それは私の命を助けたのと同時に、私の寿命を長くしたということ。
申し訳ないが、死にたいと思っていたこちらには大迷惑だ。
「___えっと、俺は一ノ瀬彼方って言います。多分、お隣の……」
『お、お隣さんだったんですか……』
「……まぁ。はい。仕事帰りで疲れてて、それで、部屋を間違えてしまったんです」
部屋を間違えるほどなのだから、結構疲れていたのだろう。
私は自分の死を止めた彼にそんな思いを寄せていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 271人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - とてもよかったです！その後話がもっと欲しい！ (2020年1月7日 18時) (
レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
優華 - めちゃくちゃ面白いです！ (2019年10月23日 17時) (レス) id: ee8e84d10b (このIDを非表示/違反報告)
Rmd(プロフ) - あああああ飛んできたらこっちも尊かったです。目から涙出てきました…(;_;)とても面白かったです！！また他の作品も読ませていただきます！ (2019年8月26日 17時) (レス) id: 4a935f5230 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - って一人で混乱してたわw過去最高(多分)の長文コメでごめんね！無理だけはしないでね！遅れたけど、本当にお疲れ様。頑張ったね！ (2019年8月24日 13時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - つつ、小説を読み続けると夢主が大好きって言ってないって言ったときにそらるさんが起きてくれていい意味で胸がギュッとなってめっちゃめっちゃ良かった(o^^o)番外編も嫉妬してると思うと可愛くて、久々にニヤニヤした気がするw嫉妬�△蓮△笋个�w二人ともいるんじゃ？ (2019年8月24日 13時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
