もしも狂気な国の大臣だったら ページ5
「は?」
「聞こえなかった?もう1回説明するね」
おほん。わざとらしく咳をした目の前の上司はさっきと同じ言葉を繰り返した。
「Aちゃんには北の国の王子と結婚して欲しいんだよね〜」
「は?????」
あ、やべ上司がキレそう。
普段ニコニコとしているうちの上司だが、怒った時はかなり怖いことで有名だ。
なんでもGo!!の一言で部下をマグマに落としたとかなんとか…。
「あのねAちゃん。よく聞いてね。このヒジキ国は今財政難なんだよ。鉱山もうちの大臣が全部掘り出しちゃったし、【ひつじ】なんかエメラルド掘ったのにゾンビに襲われて死んじゃうし」
「え、羊がエメラルド掘ってゾンビに襲われて死んだんですか?」
てか羊ってゾンビに襲われるんですね。
これは1つ賢くなったなぁ。
「まあフジが生きてるとかどうでもいいんだけど、北の国行って結婚してたんまり宝石貰ってきてよ」
「あんた考えてることほんと悪どいよな」
「あれれ〜?Aちゃんが産まれた今にも滅びそうな村に誰が援助してるんだったかな〜??」
はい、結婚します。
くそう。これパワハラじゃね?訴えたら勝てるかな。
あ、でもだめだ。ここの裁判所全部このバカ国王に決定権あるんだったくそ。
「ありがとう〜んじゃ今日はAちゃんの結婚前パーティって事で奮発しちゃおー!!」
国王は身軽に玉座から降りると、足取り軽く別の部屋へ行ってしまった。
…はぁ、結婚かぁ。
自室に戻り、ベッドに寝転がる。
「せめて好きって言いたかったなぁ」
あ、実は自分恋してます。
相手はあのサイコパス二重人格大臣キヨっていうんですけど。
あ、あと自分国王の護衛任されてるんですけどよく稽古付けて貰うんですよ。国王と執事のフジさんとキヨさんに。
いやお前ほんとに護衛かよって思うよね。それな?
けど、あんなやつらでも田舎民の私に居場所をくれて。仕事もくれてお給料もくれて。
いい人なんすよ。
北の国の王子って、イケメンかな。
せめてイケメンだといいな。
「…ぐすっ」
泣いてんじゃん私。うける。
こんな泣くぐらいならさっさと告白しちゃえば良かったのに。
うじうじ勇気がないからとか関係壊したくないから、とか。
バカみたい。
「……よし!!今からでも遅くないよね」
そうだ。振られようが断られようが明日どうせ結婚だし!砕けてこよう!
勢いよくベッドから身を起こした、と同時に大きな音を立てて開かれる自室のドア。
「お前結婚するってまじ??」
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作者名:夢吏ちゃん | 作成日時:2020年5月14日 7時