10話 ページ10
「ジェットコースターやべぇ!!」
こめかみあたりを拳で解す。まだ視界がぐるぐるしてる気がする。
キヨ兄ちゃんはキラキラした目でジェットコースターをみている。
私も1回目の時はキヨ兄ちゃんと同じ目をしていた。
しかし、それが5回続いてみろ。
今の私の目は死んだ魚だ。
「き、キヨ兄ちゃん今度あれ乗りたいなぁ!」
今にもジェットコースターの列に並びかねないキヨ兄ちゃんの腕を引っ張り、強引に違うアトラクションを指さす。
「あれか…あれも面白そうだな!いこうぜ!」
キヨ兄ちゃんは早足で私が指さしたアトラクションへ向かっていく。
よかった、とため息を吐きさっき買った飲み物を喉に滑らせる。
少しぬるくなってしまったが、この天気だ。
仕方ない。
飲み物をバッグへとしまい、キヨ兄ちゃんを追いかけようとアトラクションへ走る。
「ってあれ?キヨ兄ちゃん?」
が、居ない。
先に中に入ってしまったのだろうか。
キョロキョロと周りを見渡すが、やはり居ない。
先に入ってしまったのなら出てくるはず。
今入ったところでキヨ兄ちゃんと回れないなら待っていた方がいいだろう。
どこかに休める所はないかな。
「あの、すみません」
「っあ、はい?」
肩を叩かれ、振り返ると見知らぬ男性。
男性は少し恥ずかしそうに視線を逸らしている。
ナンパ…?な、わけないよね。
と、淡い期待を振り払い男性の言葉を待つ。
「これさっき落としませんでした?」
「え、と…私のじゃないです!」
男性はそうでしたか失礼しました。と私に頭を下げた。
でも落し物か…。
私は係員に預けてみたらどうか。と声をかけると男性はそうですねそうします!と、笑った。
私も釣られて笑うと、肩を強引に引き寄せられ誰かの胸に抱きとめられる。
「おい勝手に居なくなってんじゃねぇよ!」
「わ、わぁ!キヨ兄ちゃん!?」
首だけ振り返ると、焦った顔のキヨ兄ちゃんがドアップで私を見ていた。
見ると肩で息をしている。あれ?アトラクションに入っていったんじゃ…?
「アトラクション入ろうと思ったらお前は居ねぇし探してみたら知らねぇ男と話してるし!心配かけさせんじゃねぇよ」
そのまま体を引き寄せられ、キヨ兄ちゃんは私の体を抱きしめた。
頭の後ろを押さえつけられているため、動くことができない。
男性は少し笑うと姿を消した。
…怒られてるのに、嬉しいって思っちゃ…だめですか。
私は鼓動がキヨ兄ちゃんに伝わりませんように、と必死に祈っていた。
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*:まりな:*(プロフ) - 夢吏ちゃんさん» レスありがとうございます!通知溜まりすぎで…完結した時すぐに見れなくてごめんなさい!お気に入り作者にも登録しました!…結構前だけど…。これからも頑張ってください!1ファンとして応援してます! (2020年5月26日 16時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - *:まりな:*さん» ありがとうございます…!!えへへそんなに褒めて貰えて嬉しいです!ありがとうございます!次作でもお会いできたら嬉しいです! (2020年5月25日 17時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
*:まりな:*(プロフ) - わああああ!完結おめでとうございます!はぁもう…泣きました。(これほんと)タメ口やばいと思いましたか?私は思いました。知らねぇよ。いやー、なんかもう…満足です!作者さん!愛してる!ぶちゅ (2020年5月21日 23時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - 甘党。さん» 初めましてコメントありがとうございます!ずっと見て頂いてたんですね…!甘党。様が見て下さっていた1hitが凄く励まされました…!次の小説も近々公開しますので…!自作でも応援のほどよろしくお願い致します! (2020年1月12日 4時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
甘党。(プロフ) - 完結おめでとうございます…!今までコメントはしなかったんですけどずっと見てました!次の小説も全裸待機させていただきますね^ ^ (2020年1月5日 10時) (レス) id: 93d0b6d41e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢吏ちゃん | 作成日時:2019年5月6日 10時