27話 ページ27
「人混んで来たな。A、俺から離れんなよ」
手を繋いだままキヨ兄ちゃんに腕を引かれ、距離を詰められる。
は、離れるわけないじゃないですか〜!!
今すぐキヨ兄ちゃんのこの胸板に頬ずりしたいぐらいなのに…!
なんて考えたまま、キヨ兄ちゃんに連れられ花火会場へと向かう。
花火会場では更に人が多く、キヨ兄ちゃんの眉間のシワが増えていった。
「くそ…リア充共がよぉ…」
「あはは…でもほら、周りから見たら私達だってカップルに見えるかも…」
少しでも周りからそう見えていたら…いいのにな。
なんて表情には出さず、キヨ兄ちゃんに微笑んだ。
「あぁ?そう見えなきゃ意味ねぇだろ」
え?
キヨ兄ちゃんは目を見開くと、少し慌てたようにキョロキョロと周りを見渡した。
「お前に変な虫付いたら、お前の父さんに怒られんだろ」
「あ…そ、そうだね」
なん、だ。期待した胸に大きなトゲが突き刺さっている。
どくどくと心臓が動く度、トゲが引っかかって痛い。
2人で黙ったまま足を動かしていると、後ろから明るげな声がキヨ兄ちゃんを呼んだ。
「あれ!もしかして清川!?」
その声にキヨ兄ちゃんは振り向き、大きな目を細めて声の主を見つめた。
「…遥?」
「うん!高校の卒業式以来だね」
遥と呼ばれた女性が早足でこちらにかけてくる。涼し気な水色の浴衣が、凛とした顔の彼女によく似合っている。
「お前もこっち戻ってきたのか?」
「うん。地元で就職したくてね〜清川はデートかよ!可愛い子連れちゃってー!」
と、女性はキヨ兄ちゃんに強めに肩パンをかました。
え!?結構いい音したよ!?
と心配したけど、キヨ兄ちゃんは慣れてるようにいてーな!と女性に怒鳴っていた。
「あ、A。こいつ中学と高校の同級生だった遥」
「遥でーす!Aちゃん?可愛いね!清川と付き合うなんて大変じゃない!?」
「付き合ってねぇって。こいつは俺の…妹みてぇなもんだ」
遥さんは少し考え込んだと思ったら、私の顔をじっとみつめた。
と思ったら、次の瞬間笑顔になった。
「そっかそっか!Aちゃん聞いて〜!私ね、実はこいつの元カノなのよ!」
一瞬遥さんが何を言っているのか理解出来なかった。数秒遅れて脳が働いた。
この人はキヨ兄ちゃんの元カノ。
どう反応していいのかわからず固まっていると、遥さんの口が止まらない。
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*:まりな:*(プロフ) - 夢吏ちゃんさん» レスありがとうございます!通知溜まりすぎで…完結した時すぐに見れなくてごめんなさい!お気に入り作者にも登録しました!…結構前だけど…。これからも頑張ってください!1ファンとして応援してます! (2020年5月26日 16時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - *:まりな:*さん» ありがとうございます…!!えへへそんなに褒めて貰えて嬉しいです!ありがとうございます!次作でもお会いできたら嬉しいです! (2020年5月25日 17時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
*:まりな:*(プロフ) - わああああ!完結おめでとうございます!はぁもう…泣きました。(これほんと)タメ口やばいと思いましたか?私は思いました。知らねぇよ。いやー、なんかもう…満足です!作者さん!愛してる!ぶちゅ (2020年5月21日 23時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - 甘党。さん» 初めましてコメントありがとうございます!ずっと見て頂いてたんですね…!甘党。様が見て下さっていた1hitが凄く励まされました…!次の小説も近々公開しますので…!自作でも応援のほどよろしくお願い致します! (2020年1月12日 4時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
甘党。(プロフ) - 完結おめでとうございます…!今までコメントはしなかったんですけどずっと見てました!次の小説も全裸待機させていただきますね^ ^ (2020年1月5日 10時) (レス) id: 93d0b6d41e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢吏ちゃん | 作成日時:2019年5月6日 10時