滑稽な男 ページ37
何を考えているのか、分からなくなった。
いや正確に言えば、出会ってからずっと何も分からなかったけど、少しだけ、ほんの少しだけ隙ができて、すぐ閉じてしまった。
「今の私も綺麗だと思わない？」
今も昔も綺麗だよ。そして明日も、未来も綺麗なんだろうな。容易に想像がつくよ。いくらでも返答できるのに、どうしても絡まる手を意識してしまう。繋がってる間はさっき拒絶された扉をこじ開けられそうな気がして。
「江口さんの手冷たいね」
そう言って笑いながら離す手を掴みたかった。どうしてそんなに寂しい顔をしているのか聞きたかった。俺はあなたのためなら何でもするよ。慰みものにしてくれたっていいんだよ。
「綺麗、だよ、、、、、です」
振り絞ってでた言葉があまりにも自分に似つかわしくなくて、格好悪くて尻しすぼみになってしまった。
「ごめん、言わせちゃったね」
そう言って笑った後に近くにあったお水を飲む彼女は少しだけ耳が赤い気がした。俺の言葉で反応しているのなら嬉しくて、自分の鼓動が早くなる。
「本当に思ってるよ！てか思わない人いる？卯月さんだよ？！」
「ちょっと！声大きいですって！恥ずかしいからやめて」
「俺の心に手をあてて？？」
「え、、？」
「ウヅキサンキレイダナー、メガミダ！！っていう心の声聞こえる！？」
「え？？江口さんの心の声高すぎない？」
「そりゃ少年ですもの、心はねいつでも」
そう言うと俺の胸に手を当てたまま大きな声で笑う卯月さん。どうか鼓動が早くなっていることに気づかないでいてほしい。
「胸に手を当てたら心の声が聞こえてきたらいいのにな」
笑いすぎて出た涙を拭く卯月さんが呟く。誰の心の声が聞きたいのだろうか。残念なことに俺の心ではないことは確かである。
滑稽な男
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M(プロフ) - まぐろさん» まぐろさんありがとうございます。コメント気づかず申し訳ございません。いつかまた読んでいただけますように願っております。 (8月21日 22時) (
レス) id: 3a4ea75011 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんありがとうございます。江口さん夢でもニッチな作品ですが楽しんで頂けて嬉しいです。引き続きよろしくお願いします。 (8月21日 22時) (レス) id: 3a4ea75011 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 初めまして！主さんの作品が、私の妄想してた話と似ていて好きになりました！！これからも更新楽しみにしてます！ (8月21日 12時) (レス) @page1 id: 70b8e338d9 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - もう見てる人もいないかもしれませんが少しずつ更新します (8月20日 17時) (レス) id: 3a4ea75011 (このIDを非表示/違反報告)
まぐろ(プロフ) - 何度も読み返してます！これからも楽しみにしています！ (2020年12月18日 12時) (レス) id: 413233b421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M | 作成日時：2020年8月3日 0時
