上手の女 ページ35
「あれ、まさみちゃんは？帰っちゃった？」
しまった！！！！写真に見惚れていたせいで卯月さんが出てくることに気づけなかった！！慌てている心情を知られまいと極めて冷静に、冷静に心を沈める。
「、、あ、そうそうそう！明日の仕事早いみたい」
「それは悪いことしたなあ、部屋まで片付けてもらって」
「いやもう今日は全て俺が悪いから！！本当にごめんね」
「まさみちゃんもよくやるから大丈夫だよ」
本日の粗相について謝ると卯月さんは優しく笑ってくれた。
「でも、、お洋服も汚しちゃったし、、」
「大丈夫だよ、本当に全然気にしないで」
それより部屋片付けてくれてありがとう、と笑顔を崩さない卯月さんも長澤さんに劣らない器の大きい人だと思う。ドライヤーも済ましたであろう、髪は乾いていて、当たり前だがお風呂上がり特有のいい匂いがする。
「何見てたの？」
「あ、、この写真素敵だなって思って」
「これか！去年ハワイに行った時に撮ったんだよ〜」
「ハワイか！綺麗だね」
「本当にとっても綺麗だったよ」
卯月さんは、あの日を懐かしむように笑った。そして特にこの人はね、ハワイでずっと感動してたの、と写真の右端、ワインをかかげて笑っている大野くんの顔辺りをなぞった。
「卯月さんが、」
「、、ん、？」
「俺は、卯月さんが綺麗だと思った」
大野くんを撫でた彼女の手を取り、その２つ隣、赤色の口紅をつけて笑う卯月さんを指す。
どうしてこんなことをしたのか。いやできたのか。それは、今までずっと隙がなかった彼女に、ほんの少しだけ自分が入るスペースができたような。もっと下品に言えば、自分のペースに持っていけそうな気がしたからだと思う。
チラリと卯月さんをみる。すると丁度卯月さんもこちらを向いて、目があった。
すると彼女はニコッと笑う。ずっと触れてみたかった人の手を握っていることがすごく嬉しくて。嬉しくてたまらなかった俺は彼女も笑っていることに少しだけ安心した。
しかしすぐに彼女は俺が掴んでいた手を離す。
「、、へ、」
思わず声が出た俺の指と自分の指を絡ませてギュッと握る。
握った手を自分の頬に持っていく。
「江口さん、」
俺の手の甲と卯月さんの頬が触れる。返事をしようとしたけれど、ドキドキして心臓が追いつかない。
「今の私は、」
「、、ん、、？」
「今の私も綺麗だと思わない？」
上手の女
一枚も、二枚も
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M(プロフ) - まぐろさん» まぐろさんありがとうございます。コメント気づかず申し訳ございません。いつかまた読んでいただけますように願っております。 (8月21日 22時) (
レス) id: 3a4ea75011 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんありがとうございます。江口さん夢でもニッチな作品ですが楽しんで頂けて嬉しいです。引き続きよろしくお願いします。 (8月21日 22時) (レス) id: 3a4ea75011 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 初めまして！主さんの作品が、私の妄想してた話と似ていて好きになりました！！これからも更新楽しみにしてます！ (8月21日 12時) (レス) @page1 id: 70b8e338d9 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - もう見てる人もいないかもしれませんが少しずつ更新します (8月20日 17時) (レス) id: 3a4ea75011 (このIDを非表示/違反報告)
まぐろ(プロフ) - 何度も読み返してます！これからも楽しみにしています！ (2020年12月18日 12時) (レス) id: 413233b421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M | 作成日時：2020年8月3日 0時
