イケメン力カンスト娘【ヒロアカ】 (ページ16)

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血が吹き飛ぶ、肉が抉れる。

何十人のヴィランの攻撃が躱せるはずもなく、軍服は赤く染まっていく。

貴方｢さて、どうしようかな。個性使いたくないしなあ｣

自らの血溜まりに立っているにも関わらず、ゆっくりと揺れながらのんびりと独り言をいう。

次の瞬間、すごい勢いで傷口が塞がれ、血が止まり、傷跡も残らず綺麗に治る。

蜜蝋は治癒力の翡翠色の飴玉をボリボリと貪り食べた。

何回刺されて、切られて、抉られても、飴を食べれば食べるほど早く確実に治る。

蜜蝋を取り囲むヴィラン達はその異様な光景に少し恐怖を覚える。

飴玉のことを知らない者は、不死身にしか見えないのだろう。

そんな終わりの見えない攻防を数十回繰り返していた時、蜜蝋の視界は揺らいだ。

血が、足りないのだと察した蜜蝋は真っ赤な飴玉を取り出す。

無論、血から出来た赤い飴玉である。

それを、数個口の中に放り込む。

噛むと、中からトロリとした生暖かいものが舌の上に流れ込み、なんとも言えない甘さが全身に染み渡る。

蜜蝋は誰か助けが来るまでこのまま戦う気でいた。

ヴィランには手を出さず、自らの身を犠牲にする長期戦に。

それは、個性を使いたくないから。一択である。

蜜蝋の個性、【抽出】の副作用は精神力。

蜜蝋が新学期に間に合わなかったのも、個性の副作用によるものだった。

今でも、拒食症と痛覚無感を併症している。

だから、どれだけのヴィランに身を刻まれても発狂などしないし、何も感じない。

これでもマシになった方で、最初は感触さえもほぼなかった。

今でも固形物を腹に入れられないし、無理やり入れたところで吐き出してしまうのがオチであった。

普通に考えて、これ以上酷くはなりたくない。

その思いから、どれだけ血を流そうが長期戦に持ち込んだのだ。

痛覚が麻痺していたのは、幸か不幸か。

ボキッと軽く、でもズシリとした音が蜜蝋の耳に届いた。

ふと、後ろに目を向ける。

そこには、脳の異形と、地面に屈した相澤の姿があった。