境界の果て【派生作品】 (ページ23)

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それでも明日はページ23

霧雨亡霊区域は静かに傘を閉じた。
霧雨の降り続く区域は姿を消し、案内人は東境の街に立ち尽くしていた。

「ここは……あ！」

案内人(霧雨亡霊区域)のもとへ一人の男が駆け寄る。彼女の契約者である三島暁人だ。彼は改めて現場を確認すると、区域の頭を撫でた。

「お前だけがいる、ってことはまた『奴ら』が出たんだな。いつもありがとうな」

「うん、これがわたしの仕事だから」

「それにしても……妙だな。裂け目の気配もないのに現れるなんて、どこの裂け目からここまで来た奴だったんだ？何か覚えてることはあるか？」

暁人の問いかけに、区域は小さく首を横に振る。

「そっか……よし、一旦皆に情報共有してこの辺の監視を強化した方がいいな。そうだ、お前も頑張ってくれたことだし、何かお礼をしないとだな！」

「別にいいのに」

「そんなこと言うなって」

暁人は区域の手を取り、拠点へ向けて歩き出した。
区域も彼に続いて歩こうと一歩踏み出したが、ほんの一瞬、背後を振り返った。

「……またね」

霧雨亡霊区域は空に向かって小さな小さな声で呟いた。
よく晴れた夜空の天辺には、丸い月が浮かんでいた。