第二十二話 ページ22
ジョンハンside
インターホンが鳴る音で目が覚めた。
あれから随分と眠っていたようだ。
どうやら今家には俺しか居ないらしく、俺が出るしかない。
居留守を使えば母親に怒られる。
この時、インターホンのカメラを確認しておけば良かった。
「……A？」
扉を開けて、目の前に居たのは、俺を見て固まった様子の幼馴染だった。
今日一日中、ずっと俺を苦しめてた原因。
Aを目の前にして、喉元まで来ていたドス黒い何かが口から出ようとしていた。
殴りたい。怪我させたい。泣かせたい。
口から吐き出そうなソレを必死に抑える。
でもそれでも俺は完全に抑える事は出来なくて、気が付けばAの腕を引っ張って、抱き締めてしまっていた。
Aが俺の体に触れてる。
それだけで今までの気持ち悪かった物が全部消えた。
でも、Aはすぐに俺から離れたがった。
俺にコンビニ袋を渡して、早く帰りたい様子だった。
俺が呼び止めると、Aはスマホを確認した。
まだお前の門限まで余裕あるじゃん。
そう思った後、スマホの画面に映る、ほんの一瞬の間に見えた名前に、気が狂いそうになった。
確かに見えた。【ホン・ジス】の名前。
……もしかしてこの後、ジスと会う約束でもしてるのか？
先走り過ぎだと自分でも分かっていても、そう考えてしまうのは仕方の無い事だった。
このまま帰らせたら、Aはジスの所に行くのか？
気持ち悪すぎる。
弱々しくAを引き止める俺は格好悪かっただろうけど、でも、アイツの所になんか行くなよ。
俺だけ見てろよ。
早く俺だけの物になってくれよ。
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作者名：ソルト | 作成日時：2020年1月25日 21時
