中島敦の親友 (ページ7)

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親友5人ページ7

あれから、さらに数日。

Aが働きに出ている間に、今日の寝床を探して歩き回る。
もうすでに日は沈み始めていて、朝「定食屋でいいもの貰ってきて見せるから！」と意気込んでいた姿が脳裏を過った。

…うーん。この街の公園は、人通りが多いところにあるから却下。
大分都会に出てきたからか、夜に寝られそうな場所が限られてきたな、とぼんやり考える。

この辺りは……ヨコハマだろうか。
地図が無いため詳しい場所は分からないが、建物も増えてきたし都会であると云うことは分かる。

「今日は、川沿いにするかな……。」

橋の下なら目立たないし。川の近くは湿気がひどくて本当はあまり好きじゃないけど…。贅沢なことは云ってられないな。

いつの間にやら上っていた月に目を向け、はぁと溜め息を落とした。

「A……。」

嗚呼、この日々はいつまで続くんだろう。

いつまで、Aに頼ってしまうんだろう。

しばらくして、ふと目の前の川へ視線を落とす。

「…え？」

虎だ。

ソレを認識した途端、ヒュッと口から空気が漏れた。

川に白銀の巨体が映る。
孤児院を荒らしたであろう、白銀の獣。

「うわぁぁぁぁ！！」

虎？人喰い虎か？

見間違いかもしれない。
だってアイツは孤児院の畑を荒らしてるはずだ。
追ってきた？誰を？僕をか？

ぐるぐると考えながら、無我夢中で走り出す。

振り返れば、「嗚呼、見間違えか」何てことで終わったかもしれない。
でも。
でも！
でも！！

もしも見間違えじゃなかったら？

僕を追ってきていたんだとしたら？

そう考えると、怖くて恐くて。

僕は暗くなった川沿いを走り続けた。

「(僕は、僕はまだ……！！)」

死ぬ訳にはいかない。

Aが、いるんだから。