中島敦の親友 (ページ4)

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親友2人ページ4

小綺麗な服を着て、Aは街の人に声をかける。

なるべく優しそうな。お人好しそうな人を選んで。

……Aは言った。

「今日を過ごすには食事が必要だが、明日を過ごすには服が必要だ」と。

汚い服で駆けずり回っても、今日は何とかなろうとも、明日の生活を今日以上にはできない。そういう意味らしい。

「(確かにそうだよなぁ……。)」

Aはついた町で、地元の人にお願いして日雇いの仕事をもらっている。
この1週間、Aがいなければろくに食べることすら出来なかった。
何度か町の人の手伝いを試みたが、男の僕だと警戒されてしまうのか、どうしても上手くいかない。

Aも、孤児院を飛び出した時の服よりも上品な服を着ていることで、相手の警戒心を下げているのかな。

多分そうだ。そうなんだろう。
Aはいつも、僕よりも頭がいい。僕が思い付かないようなやり方で、道を切り開いているんだから。

『敦！そこの八百屋のおじさんが雇ってくれるみたいだから！』

私が終わるまでどっかで待ってて！と、元気よく笑う。

「……うん。」

１日働いて、貰えるのは食事と少しのお金。次の日働き場所が見つからなくても、少しのお金を回せば何とかなった。

僕にできるのは、夜それなりに安心して眠る場所を探すことくらいだ。それが物凄く申し訳ない。

でも、彼女は言うのだ。

「敦が敦でいてくれたらそれでいい」と。「私は敦の側にいるから」と。

小さい頃から僕の隣にいて。

「私がいるよ」と云ってくれる彼女の存在に

僕が何度救われたか、きっと彼女は知らない。