中島敦の親友 (ページ17)

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親友15人ページ17

「……本当にここに現れるんですか？」

夜。とある倉庫で虎を待つ。

敦くんが不安そうに訪ねてきたけれど、生憎今「完全自殺」という本を読んでいてね。本から目を離すことなく「本当だよ」と返した。

そう。何も心配することはない。
だって敦くん。

君こそが虎なのだから。

「虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても『武装探偵社』の一隅だ。」

「はは…すごいですね、自信のある人は。」

「僕なんか孤児院でもずっと“駄目な奴”って言われてて……その上昔からずっとAに頼りっぱなしで…。」

『…そんなことない。アイツらに見る目がないだけ。』

自虐的になる敦くんの手を、Aちゃんがギュッと握る。
それだけで、表情が和らいだように見えた。

「(本当に……不思議な関係だ。)」

依存、と云うのでは生ぬるい。
盲信にも近いソレは、言葉では言い表し難いものがあった。

『……。』

特に、彼女。
敦くんへの、執着は凄まじい。
彼女の世界は敦くんを中心に回っていると云っても過言ではないだろうね。

話を聞く限りでは、彼女は孤児院でもそこそこ上手くやっていた。
にも関わらず、他の全てを捨ててまで敦くんを選んだ。…ふむ。

それほどまでに執着させているのは何なのか気になるけれど、今は”虎“に集中しないと、ね。

「(虎の正体を知った時、どんな反応をするのだろうね。)」