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有岡side
どうして?と聞かれれば
それはっ…と言ったきり口をつぐんで。
しばらく経って、なんとなく?
と笑って見せれば、皆はまたテキトーだと騒いでて。
でもその笑顔はすぐ
寂しそうな笑顔に変わったんだ。
慧「 来週じゃ……遅いんだよ 」
そんな今にも消えそうな小さな声に気付いたのは
隣の俺だけだったと思う。
唇を震わせて、瞳を泳がせて言ったその言葉が
ひどく重くのし掛かったのを覚えてる。
,
それからは出来るだけ
慧の意見を尊重するように行動した。
カラオケだって次の日に行ったし、
サボりだってやってのけた。
帰りに皆でファミレスでご飯も食べたし
休みの日には、行ける範囲で遊びに行ったり。
今日だってその帰り道
星空の下、街灯が眩しく照らしてた。
慧「 …ちょっと休憩、してもいいかな? 」
昼間の血色のいい肌に比べて
あきらかに青白い顔に変わった事に気が付いて
慌てて近くのベンチに座る。
大「 はい、水。ごめん…気づかなくて 」
慧「 謝んないでよ。少し疲れただけだから 」
例え検査結果が同じでも
薬がなきゃ生きられないことには変わりは無くて。
どんなに眠くても
どんなに辛くても、
理由に関係なく
必ず飲まなければならない。
『 薬が繋ぐ命 』であるその事実に
ギュッと心が痛むのは、俺だけだろうか。
慧「 ねぇ…大ちゃん 」
問いかけの声に項垂れた頭を上に向ければ
彼はただ真っ直ぐ前を見つめてて。
この時はまだ
いつもの慧、だったんだ。
慧「 …ありがとね、色々と。
大ちゃんには本当に感謝してる 」
大「 何だよ急に… 」
慧「 だって大ちゃんに会えたから
こんなに楽しく過ごせたんだもん 」
人通りの少ない夜の時間。
鈴虫の音が妙に響くこの場所は
やけにひんやりと冷たい。
奇跡だね…と呟いた彼の声は
すぅっと不気味に姿を消した。
大「 過ごせた、じゃなくて過ごすの。
まだ卒業式だってあるんだから 」
慧「 ふふっ、そっか。卒業式ねぇ…… 」
やんわりと微笑む彼の横顔は
月の光に照らされて、透き通るほど綺麗で。
触れたら壊れてしまいそうなその華麗さが
何故か俺を不安にさせた。
このまま何処か行ってしまいそうで
届きそうで届かないその存在。
この時何であんな事を言ったのか
気付けられたら良かった…
だってさ、
,
次の日の朝。
彼はおはようと言う暇もなく
俺の目の前で倒れたんだから…
,
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新道踏切(プロフ) - 最近見つけて読んだら止まらなくなりました!更新楽しみにしてます(●´▽`●) (2021年1月3日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - にゃごさん» コメントありがとうございます!ほんとに嬉しいです!!これからも読んでいただけるよう頑張りますね! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - のぶちゃんさん» お待たせさせてしまいすみませんでした。コメントありがとうございます!!今後もどうかよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - みおさん» お待たせしてしまい申し訳ないです。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - いのひかゆうやさん» 遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りみ | 作成日時:2017年10月15日 13時