甘くて苦い、チョコレートのような。【wrwrd】 (ページ34)

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甘味33 ページ34

shaside

本当に気まぐれだったんや

何となく校内をブラブラしてただけなんや

どこからか声が聞こえてきて、何となく行ってみただけの話だったんや。

新たに生徒会に入ってきた彼女は「劇の練習や」と言っていた

少しだけ、見てみたいと思った

いつもみんなとふざけ回ったり、危ない目に合うような彼女の演劇が少しだけ気になったのだ

彼女は快く見学(?)をOKしてくれた

『あぁ、あの美しいお嬢様は一体誰だったのか‥‥』

‥‥‥‥‥‥‥

『もう一度‥‥もう一度だけでいい、彼女の名前を呼びたい‥‥っ』

‥‥‥‥‥‥‥

『運命とは残酷だ‥‥神はどうして、私と彼女と出会わせたのか‥‥』

‥‥‥‥‥‥‥

彼女の演技は、見入ってしまうものだった

女性にしては少し低いアルトの声を駆使し、はっきりと男性らしい演技を見せた

いや、魅せられたのか。

練習を中断し、俺に向き直った

『ちょぉーっとそこ、立っとって』

言われるがまま、椅子から立ち上がると、彼女に手を握られた

真剣な眼差しに、少し動揺したのも束の間

『ここから逃げましょう、ここの人には見つからないような場所で2人で幸せになりましょう』

まるで、俺自身に迫っているような言い方だ

演技だとわかっていても、顔の中心に熱が集まるのがわかる

「へ、っ‥？」

『私なら貴方を守ってみせます、どうか、私に身を委ねて‥‥っ』

体が勝手に動いた、俺はAに抱きとめられる形になったのだ

『およ？シャオちゃん、別に何もせんで良かったんやで？』

心臓が破裂しそうなぐらい波打つ

「へ、あ、‥‥っ～！Aのバカ！！」

そう言うと、教室の外へ駆け出した

ダメだ、鼓動が鳴り止まない。