あの日の約束を、【時透無一郎】

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「来ちゃった」





「…いや、来ちゃったじゃないんだけど。」





「え？だって来ていいって言ったじゃん」







「言ってない一言も。耳と頭大丈夫？」






大きく溜息をつきながら聞かれるが、ここから帰ろうという気も更々ない。






「…ていうか、足治ってないのになんでここまで来るかなぁ」






「え、なに僕のこと心配してくれてるの…？」





「そうだと思うなら帰りなよ」





即答。



つれないなぁ…






「帰らなーい。僕もあと三日くらいしかここにいないし」





「へぇー、退院？それはおめでたいね」





少し刺のある言い方。





「Aは？」





「私は…わかんない。言われてないから」





かなり長い間いるということだろうか。





「…ごめん、これ聞いていいかわかんないけど、どこが悪いの？」






「…ん…う」




「え？」





「なんでもなーい。なんか風邪をこじらせただけだって」






「本当に？」




「ほんとほんと」と僕から目をそらす。



何か嘘をついている。



そんなことは分かるけれど、僕にはどうしたらいいのか分からない。







「あと、初対面でそういうこと聞いてくるのやめた方がいいよ。ほんと嫌われるよ？」






「えー、じゃあAは僕のこと嫌い？」






「なんか嫌いになりつつある。最初からだけど」




「酷ーい」





「ほら、私もう今から検査あるっぽいから早く帰って」





シッシッ、と手で追い払われる。




今日のところはしょうがない。





「わかった帰る。じゃあまたあしたね」





「明日とかうざ」







苦笑いをしながらも手を振ってくれるAに手を振り返し、病室を出た。

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