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それから3週間後。



僕はAには会えずにいた。




コンコン、と病室のドアを叩く音がして、扉が開く。


ドアには背を向けて横になっているから見えないけれど、多分看護師だろう。





「…あの」



「はいはい。僕はここにいます。逃げたりしません…え?」




振り返ると、そこに居たのは看護師ではなかった。





「A…」





「…」




「ど、どうして…」





ベッドから起き上がろうとすると足に激痛が走り、その場にしゃがみこんでしまう。





「ちょっと、何してるのよ…大丈夫?」




Aが駆け寄ってきて、体を支えてくれる。






「うん、それより、そっちこそ大丈夫だったの?」





「私は全然。あの時は、あの…貧血で、」



少し目を逸らしそう言う。

もしかしたら違うのかもしれないけれど、詮索されるのも嫌かもしれない。


とりあえず今は元気そうだし良かった。




「そうだったんだ、」




「…なんか、助けてくれたらしいね。ありがとう、って、それ言いに来ただけなんだけど。」





「気にしないでよ。そんな大したことしてないし」





「…あと、ごめんね。ストーカーだとか言って。」





そう、申し訳なさそうに目を伏せる。



案外すんなりと謝られたので驚く。




「いや、それは…まあ傷つきはしたけど」




「でもそっちも悪いよ。急にあんなこと言ってきてさ…」




はぁ、と溜息をつきながらベッドの向かいの椅子に腰かける。




「うん、ごめん…」




「まあいいんだけど。そんな悪い人じゃなさそうだし。私、A。文月A。でも名前何故か知ってたよね。」






「それは…ほら、あれだよ。もうなんでもいいじゃん」




「どれよ。どうでも良くないんだけど」




濁すとまた訝しむような表情を見せる。





「まあいいじゃん。僕は時透無一郎。よろしくね」





「よろしく、無一郎、さん」





「無一郎でいいよ」



微笑むと、うん、と短く答える。

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優衣(プロフ) - 夢じゃなくて、本当になればいいのに😭続き楽しみにしてるよ✨ (5月7日 22時) (レス) @page12 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - 夢主ちゃんがまた、消えてしまうんじゃないかって思うと怖い、、、続き楽しみにしてるよ✨ (4月13日 19時) (レス) @page12 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - 優衣さん» コメントありがとう!ごめん結構更新遅れた…優衣ちゃんからのコメント毎回ほんとに嬉しいよ😭💕これからもマイペースすぎると思うけどよろしくね! (3月14日 18時) (レス) id: db666116fc (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - 夢主ちゃん、どこが悪いのかな❔無一郎あとすこしで退院するんだ😊続き楽しみにしてるよ✨ (3月10日 0時) (レス) @page11 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
寺乃(プロフ) - シルビア★姉貴さん» ごめぇぇんっ!!だよね!?この新作も前から温めてたやつで…😭😭シルビアちゃんチャットの方見れる??そっちで話したい! (2月28日 16時) (レス) id: 814390a70f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寺乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mui08081/  
作成日時:2024年1月22日 18時

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